厳しい日本の経済状況の中で、求められる新しい制度
少子高齢化が進み、さまざまな問題が生じている
日本は少子高齢化が急速に進んでいます。2055年には人口が9000万人以下に減少し、3分の1以上が60歳以上になると言われています。かつて日本は高い貯蓄率を誇っていましたが、高齢者が生活のために貯蓄を取り崩し、経済的なゆとりがなくなっています。年金制度も今のままでは持続不可能です。日本は、働く現役世代が高齢者を支える「賦課方式」と言われる年金制度を採用していますが、一人の高齢者を支える現役世代の人数が急激に減っているため、近い将来年金給付ができない状況に陥るのではないかと危惧されています。
今、改革を行わなければ、生活に大きなダメージ
これに加え、日本政府は多額の財政赤字を抱えています。このような厳しい状況に対して、税制や社会保障制度の改革や人口減少への対策をとる必要がありますが、その道筋は明らかではありません。急激な制度変更は大きな犠牲をともなうため、いまだに根本的な解決がなされていないのが現状です。また仮に年金制度を廃止した場合、高齢者の生活を支えながら新しい制度をどう作るかという経過措置の課題も解決しなければなりません。ただ、残された時間はあまり多くはなく、もしうまく乗り切ることができなければ、最悪財政が破綻するかもしれません。そうなれば、私たちの生活は大きなダメージを受けることになります。
新しい制度を模索する必要性
そんな中、若い人たちはどうすればよいのでしょうか。特に現役引退後のことを考えると、年金には期待ができないため自分の資産は自分で管理して、老後も困らない資産を形成していくことが必要です。そのためには、若いうちからしっかりとした金融の知識を身につけて、他人の意見に左右されるのではなく自分の責任でものごとを決めていくことが求められます。また、金融、財政の分野では、どのようにすれば、自己責任を基本にした新しい制度の構築ができるのかという検討が必要とされています。
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山口大学 経済学部 経済学科 教授 兵藤 隆 先生
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