企業にとって「電子マネー」のメリットとは

企業にとって「電子マネー」のメリットとは

電子マネー普及のきっかけは鉄道会社

電子マネーは、利用できるお店が限られるという欠点はあるものの、現金を用意しなくても決済できるという利点があります。手続きも簡単です。では、このサービスには企業側にどんなメリットがあるのでしょうか。日本で電子マネーが普及するきっかけとなったのは鉄道会社が導入したことでした。改札で使用される、切符を通す形の自動改札システムは機械が複雑で高い維持費がかかっていました。そこでコストを削減するために導入されたのが、かざすだけで決済ができる非接触型のICチップを使った電子マネーです。

個人を特定できる購入情報でマーケティング

鉄道会社の電子マネーは、切符や定期だけではなく駅構内の店舗や駅以外の店舗でも使えるようになり、新たな収入源の開拓につながりました。この成功を見たコンビニやショッピングセンターなどの流通企業も、独自に電子マネーを導入するようになりました。ポイントシステムを導入して顧客の囲い込みを行い、自店舗以外でも使えるようにして利用者を拡大しています。流通系の電子マネーでの企業のメリットは、電子マネーには個人情報が含まれているので、レジでバーコードによって収集する購入情報と個人情報を結びつけた緻密なデータが得られることです。これは次回のマーケティングに利用されます。

電子決済システム開発企業や新しい金融機関が誕生

さらに、電子マネーはほかの企業への波及効果もあります。例えば、電子決済システムを開発した企業へ大きな収益をもたらします。また、ショッピングセンターやコンビニを母体とした新しい金融機関を誕生させる呼び水にもなっています。ただし付随する問題もあります。それはポイント制度です。ポイントは企業にとっては負債で、利用者が一挙にポイントを使うと収益低下の要因になるというリスクがあります。リスクを回避するため、ポイントに使用期限を設けるなどしていますが、提携企業が増えればそれだけリスクも増大します。利便性の拡大とリスク増大は表裏一体なのです。

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山口大学 経済学部 経済学科 教授 兵藤 隆 先生

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経済学

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メッセージ

世の中にお金に興味がない人はいないと思います。しかし、金融という言葉になると難しいとか、わからないなどという声をよく聞きます。私たちの身のまわりに起こっている具体的な経済の問題を考えていけば、それほど難しいことではありません。特に現在の日本は、大きな転換期にあります。10年前の日本と今の日本はずいぶん違います。10年後の日本と今の日本も違うでしょう。20年後はもっと違ってきます。金融について一緒に学びながら、私たちはどうしていけばよいのか一緒に考えていきましょう。

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