誕生から最期の瞬間まで向き合っていく「看護師」
老年看護学という分野
看護学では基礎看護学に加え、精神看護学や小児看護学などさまざまな専門分野があります。例えば、かつては「老年看護学」という独立した分野はありませんでしたが、高齢化にともない社会から強く求められるようになりました。「老年」はまだまだ先のことで想像もつかない未知の世界かもしれません。しかし、誰もが年を取ります。家族の介護などをきっかけに高齢者の健康について考える機会が訪れることもあるでしょう。
運動と栄養による認知機能の改善
高齢者の健康維持にはさまざまな要因が関わっています。例えば、認知機能と運動の関連性や栄養管理について、世界でもさまざまな先行研究があります。例えば、適度な運動が認知機能の低下を遅らせること、運動だけでなく、細胞に与える栄養面も重要であることを示唆するデータが集まっています。これらのデータから、脳の機能維持にとって「糖質」がいちばんの栄養だということがわかっています。さらには、どのような種類の糖に効果があるかなど、さまざまな側面から研究が続けられています。加齢にともなう障がいがあっても、人生を最期の瞬間まで心豊かに過ごすためには、どのように過ごしていけばよいか、これは、看護や医学だけの課題ではありません。運動や栄養など、さまざまな分野の研究者たちとの協働によって改善する必要があります。
自分が知らない痛みに寄り添う
老年看護が対象とする「痛み」は、多くの看護師にとって経験したことのないものです。例えば、認知や運動機能の衰えにより歩行がどのように困難になっていくのかについて、知識だけがあっても実感がともなっていなければ十分に対応できないことがあります。これは、それ以外の病気でも同じことが言えます。認知や運動機能をどのように維持すれば生活の質を保てるのかはさまざまな研究が進められています。一方で、患者自身が歩んできたライフヒストリーと向き合い寄り添うことも、高齢者に対するケアの効果を高めることにつながります。
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明治国際医療大学 看護学部 看護学科 講師 栗山 真由美 先生
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