コンピュータが人間の言葉の意味を理解できるようになる?

コンピュータが人間の言葉の意味を理解できるようになる?

自然言語処理にできること

コンピュータは、その圧倒的に高い計算能力で、さまざまな種類のデータをすばやく処理することができます。その一方で、例えば人間の言葉をテキスト(文字)として入力しても、コンピュータ自体はそれらの言葉を単なる文字列としてしか認識せず、どのような意味を持つ言葉なのかを理解することはできません。
ただ、コンピュータの処理にさまざまな工夫を加えることにより、あたかもコンピュータがテキストの意味を理解したかのように動作させることは可能です。これは「自然言語処理」と呼ばれる技術で、私たちの身近なところでは、パソコンの漢字変換や、インターネットの検索エンジンでの情報検索、メールソフトでの迷惑メールのフィルタリング機能などが挙げられます。

有効な情報を発掘するテキストマイニング

自然言語処理の中でも注目されているのが、「テキストマイニング」という技術です。これは、新聞記事やインターネット上の文書など、膨大な量のテキスト情報の中から、目的に合う有効な情報を発掘するための技術のことです。例えば、さまざまな企業の業績発表記事のテキストデータの中から、どういう要因で業績が好調か、あるいは不調なのかという情報を自動的に判別し、重要度も判断して抜き出すことにより、それらを株式投資の参考データにするといった研究が行われています。テキストを判断して必要な情報を抜き出すための手がかりをコンピュータに与えることで、このようなことが実現できるのです。

アンバランスな能力をいかに人間に近づけるか

コンピュータは、計算能力と記憶能力に特化した、非常にアンバランスな機械です。しかし、この自然言語処理のようにうまく工夫を施せば、人間の判断に近い品質で、膨大な量の作業を効率よく行わせることができます。この分野の研究が進めば、近い将来、人間からのさまざまな要望を的確に判断して実行する、秘書のようなコンピュータが誕生するかもしれません。

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先生情報 / 大学情報

成蹊大学 理工学部 理工学科 教授 酒井 浩之 先生

成蹊大学 理工学部 理工学科 教授 酒井 浩之 先生

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情報学、自然言語処理、テキストマイニング

メッセージ

自然言語処理の根本は、人間が行うと膨大な時間がかかることを、計算機を使って自動的に行うということです。例えば、大量のWebページを一人の人間が見て、自分が欲しい最適な情報をすべて探し出すには大変な時間がかかりますが、これをコンピュータが自動的に行ってくれれば便利です。しかし、言語という複雑なものを計算機に処理させるのは大変なことです。いかに人間と同じような自然言語処理をさせるか、それがこの研究の面白さであり、課題であるとも言えるでしょう。興味があるあなた、一緒に研究してみませんか?

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