無二の技術によりSDGsやSociety5.0に貢献する超伝導

無二の技術によりSDGsやSociety5.0に貢献する超伝導

運輸・医療・エネルギーに貢献する夢の材料

「超伝導」は、ある温度(臨界温度)以下まで冷やすことで、唯一電気抵抗ゼロで大電流を流せる電気電子材料です。このため、SDGsやSociety5.0社会に必要な唯一無二の技術によりCO₂削減、省エネ、最新医療(がん治療)などイノベーションを起こすことが期待されており、世界中で研究が盛んに行われています。
超伝導は電気抵抗ゼロで大電流を流せるため、ほかの材料では不可能な高磁場を発生させる超伝導電磁石を作ることができます。これにより運輸分野では、超伝導電磁石を使ったリニアモーターカー、航空機や空飛ぶ車などへの応用が進められています。医療分野では、超伝導電磁石を使ったMRI、NMR、癌治療用重粒子線装置などに実用されています。エネルギー分野では、超伝導電磁石を使った発電機、電力貯蔵装置などの研究が行われており一部実用されています。

より扱いやすく、より高機能な材料を

現在、実用化している超伝導応用に使われている従来の超伝導材料は、高価な液体ヘリウムを用いてマイナス269℃まで冷やさなければなりませんでした。しかし、銅酸化物の超伝導材料は、安価で入手しやすい液体窒素(マイナス195℃)で冷やせば十分に機能するものが開発されています。
安価な液体窒素温度下で超伝導電磁石として使える超伝導を作るには、磁場中で超伝導体内に侵入する量子化磁束(ナノメートル(10億分の1メートル)サイズ)の運動を抑制し、臨界電流密度(超伝導状態で流せる電流密度)の向上が必要です。そこで、人工的にナノサイズの不純物を適度に超伝導材料に導入することで磁束運動を抑える手法が開発されています。

超伝導材料が拓くSDGs・Society5.0

近い将来、超伝導技術でしか実現できない新運輸技術・高度医療・エネルギー機器などが、私たちの身近に現れる時代が来ることでしょう。多くの研究者の努力によって生まれる機能性材料は、さまざまな可能性を生み出し、新しい社会の実現へと繋がっていくのです。

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先生情報 / 大学情報

成蹊大学 理工学部 理工学科 教授 三浦 正志 先生

成蹊大学 理工学部 理工学科 教授 三浦 正志 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

超伝導工学、電気電子材料、電磁気学

メッセージ

三浦正志研究室では、AIが活躍するSDGsやSociety5.0社会に役立つ新運輸技術・高度医療・エネルギーに貢献する『超伝導』の研究を行っています。特に、超伝導状態で流せる電流密度(臨界電流密度)の向上に向けてオリジナルの手法により独自の超伝導材料の開発を行い、世界最高の臨界電流密度を更新続けています。あなたも一緒に、超伝導などの電気電子材料のナノ組織を人間の手(技術)によって人工的に制御し、機能を最大限に引き出し、これまでにない新しい応用に貢献する研究に取り組んでみませんか。

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