AIには謎がある! 未知の領域を解き明かす知能情報学
人間のように認識できるAI
知能情報学は、人の情報処理能力を機械で模倣し、応用するための学問です。人間の脳を構成する神経細胞をニューロンと言い、ニューロンがネットワークでつながって、私たちは考えたり、物を認識したりしています。この仕組みを模したシステムが、ニューラルネットワークです。1950年代の後半から、特定の問題を解く手順を、単純な計算や操作の組み合わせとして定義したプログラムである学習アルゴリズムの研究が進められてきました。
なぜAIが人間並みになったのかは未解明
学習アルゴリズムを用いて、ニューラルネットワークに大量の画像、テキスト、音声データなどを入力し、データに含まれる特徴をコンピュータに自動学習させる手法をディープラーニング(深層学習)と言います。ディープラーニングにより、人間を超える認識精度のある人工知能(AI)ができました。ところが、アルゴリズムがどのように働いているかは、実はよくわかっていません。AIの推論の根拠がわからないため、間違う可能性があります。どこで暴走するかわからないので、このままでは車の自動運転などを任せることはできません。更にAIを調べることで、人間の脳の理解にもつながると考えられています。
農業分野や医学分野に画像認識研究を役立てる
AIの研究に、画像認識があります。機械に画像を入力し、特徴を検出・認識させる技術です。その性能を向上させる手法として「敵対的生成ネットワーク」があります。具体的には、例えばユズ(柚子)の絵を生成するAIを作り、本物と偽物のユズを描かせ、もう一方のAIには、偽物のユズを見抜くようにプログラムします。だまそうとするAIとだまされまいとするAIが敵対し、切磋琢磨することで、双方の能力が上がるのです。こうして性能が上がったAIを農業分野に用いる研究が進められています。画像認識の精度を高めることで、ユズの収穫時期の予測などができるようになるのです。医学分野への応用も同様で、AIで地方の人手不足の問題の解決を目指しています。
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先生情報 / 大学情報
高知工科大学 データ&イノベーション学群 データ&イノベーション教室 ※2024年開設 教授 吉田 真一 先生
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知能情報学先生への質問
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