歯を抜かずに治す最先端歯科治療
抜歯の一番の原因は「割れ」
「いくつになっても自分自身の歯を残したい。」それは誰もが願うことでしょう。特に日本人は、インプラントや矯正が盛んなアメリカやヨーロッパの人々に比べ、歯を残すことを重んじる傾向があります。
現在、歯を抜く2大原因は「歯周病」と「虫歯」で、日本では年間約1千万本の歯が抜かれていると言われていますが、「歯周病」と「虫歯」はきちんと予防すれば歯を抜くようなことにはめったになりません。しかし、歯が割れてしまうことは自分では予防できません。歯根(歯の根っこ)まで割れてしまう「歯根の破折」では、今でも世界の99%の歯科医師が治療を断念して抜歯している状況で、わが国でも年に150万本以上が抜かれていると考えられています。そんな状況を変えたいと進められたのが、「割れた歯根を接着する」研究です。
ボンドで割れた歯をくっつける!?
歯を食いしばったりすると、歯にかかる力は前歯で15キロ、奥歯では60キロ程度と言われています。大変な負荷がかかっているのです。そのため、割れた歯をくっつける場合には、噛んでも再び割れないよう強固に接着する接着剤が必要となります。これには歯科用の接着剤として開発され、生体に優しい「スーパーボンド」を使います。
歯を抜かずに修復する技術も
また割れた歯を接着するといっても、歯の根っこは歯茎にくっついています。ではどうやって治療するのでしょうか。まず「割れた歯を1度抜いて、接着してから元に戻す」という画期的な治療法が開発されました。しかし抜く時に粉々に割れてしまう場合もあります。そこでさらに考えられたのが、歯を抜かずに接着剤で修復する方法です。手術用顕微鏡で見ながら、直径250ミクロンの金属チップを超音波振動させ、歯に入ったヒビを削り接着剤で修復します。
この治療技術が普及すれば、抜歯しなければならない症例は1~2割に減るでしょう。また今後は、破折した歯根の接着だけでなくその周囲の組織再生と予防が課題です。
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