人とコミュニケーションできるロボットを実現する
自動化から自律化へと進化するロボット
工場で活躍するロボットや二足歩行する人型ロボットなど、その進化には目覚ましいものがあります。運動機能だけを取り上げれば、ロボットはすでに人間を超える能力を身につけています。しかし、人とのコミュニケーションをどうやって行うのか、また人間のように情報を収集・判断して、何らかのエクスプレッション(表現:expression)を行う脳機能的な要素に関しては、いまだ未開発です。ロボットを構成する技術がセンサーとコンピュータとアクチュエータであるという流れの中で、今後ロボットは情報技術の発達とともにさらに進化していくと予想されます。そのキーワードは自律化です。
いかにロボットに意識を実体化させるか
ロボットの自律化について、明確な定義はまだありません。しかし、対象に対して何らかの認識・判断を行い、その都度、適切なアウトプットができるシステムが予想されます。つまり、人間が持っている視覚、触覚、情報収集力、判断力などを身につけることで、人とコミュニケーションができるロボットと言えます。その実現のために無視できないのが、人間の脳機能の仕組みや生物の生体的な機能を解明するバイオテクノロジーの技術です。情報技術やバイオ技術によって、人間が持っているような「意識」をロボットにどう実体化するかがポイントなのです。
研究はフィロソフィーとサイコロジーの段階へ
例えば、人と会話できるロボットは、自律化の究極の姿と言えます。実現には、学習して蓄積したデータをもとに、こうしたらこうなるだろうと将来を予測し、修正をしていく能力が求められます。知覚を入口として、ロボット(機械)が意識を持つようになることはSFの世界かもしれませんが、可能性がないとは言いきれません。現在のロボティクス技術は、自動化から自律化への過渡期にあり、研究は脳機能はもとより、情動や倫理観といったフィロソフィーとサイコロジーの段階へと進もうとしているのです。
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九州工業大学 情報工学部 知的システム工学科 教授 林 英治 先生
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