ロボットは先端技術のかたまり

ロボットは先端技術のかたまり

ロボットが移動するには多くの情報が必要

ロボットが今いる場所から別の場所に移動するとき、どういう情報が必要でしょうか。まず、今いる場所がどこかを把握する必要があります。そのためには、あらかじめ柱のような目立つ場所に目印を複数設けておき、その場所との距離を計測することで現在の位置を割り出すことができます。目印は、ロボットが認識できるような色や形にしておきます。ここでは、2次元映像を3次元映像に変換する「ビジョン」という技術が使われます。自分の位置がわかれば、あとは「オドメトリ」という技術で、現在地を計算しながら目的地に移動します。この技術は、タイヤの回転から移動距離や方向を割り出すものです。しかし、目的地までの間に障害物がある場合も想定されます。
障害物があるかないかは、目的地の方向を見て視界を遮るものがないか調査することでわかります。それには「レーザーレンジファインダー」という計測器を使用します。これは、赤外線を照射することで対象物までの距離を計る機械です。この計測器は、目的地までの間に何か障害物があるとその場所を特定することができます。ロボットは赤外線を照射しながら移動し、障害物に近づくとそれを避ける行動をします。このようにして、ロボットは目的地に到達します。

さまざまな技術を総合してロボットは開発される

人間なら一瞬で状況を把握し、ほとんど無意識に目的地に到達することができるでしょう。しかし、ロボットは人間が無意識に行っていることを、一つひとつ順を追って行う必要があります。しかも、機械が動くため正確さが求められます。少しでも計算が狂ったり、タイヤが滑るというような思いがけないことが起こると正常な動作ができなくなります。そのような「間違い」を犯した場合、それを修正し学習する能力が必要になってきます。ロボットの開発には、共通の基盤となるさまざまな要素技術を開発していくことが求められます。

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九州工業大学 情報工学部 知的システム工学科 教授 大橋 健 先生

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情報工学

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メッセージ

ロボット開発には、さまざまな要素技術が含まれています。音声認識やロボットの「目」を研究するコンピュータビジョン、行動を学習するシステム、複数のロボットを協調して動かすためのネットワーク技術。また、ロボットを動かすためには物理や制御システムの知識も必要です。ハード、ソフトの両面で、技術が集積されています。ロボットの応用はこれからですが、ここにも面白い分野が広がっています。これから成長が期待される分野で、裾野が広いので、きっとやりたいことが見つかると思います。

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「情報工学」は、高度情報化社会の進展の中で、ますます必須知識・ 技術となっています。九州工業大学情報工学部は1986年 に創設された日本初、現在も国立大学法人で唯一の情報工学部で、2016年に創設30周年を迎えました。知能情報工学科、電子情報工学科、システム創成情報工学科、機械情報工学科、生命情報工学科の5学科があり、情報工学の学びを軸としつつ、各学科の応用分野に対する教育研究を進めています。特に、教育システムは、全学科がJABEEに認定され、世界的に通用するものであることが保証されています。