宇宙ゴミが増えると人工衛星が打ち上げられない!
衝突によって自己増殖する宇宙ゴミ
宇宙ゴミには、不要になった人工衛星や、打ち上げに使ったロケット、宇宙機(スペースクラフト)の運転時に船外に放出される物質、さらに宇宙飛行士が誤って落とした手袋や工具などもあります。ほかにも、地上からの操作による人工衛星の破壊や、人工衛星同士の衝突や爆発によっても、大量の宇宙ゴミが発生します。問題なのは、宇宙ゴミは互いに衝突することで急速に自己増殖していることです。2011年の調査でソフトボール以上の大きさの宇宙ゴミは、元が何であったかという由来が把握されているものだけでも約1万6000個と言われています。
1cmの宇宙ゴミで人工衛星は破壊される
宇宙ゴミが増えると、危害が及ぶ可能性があります。地上への危害は落下による衝突ですが、これは途中で燃え尽きてしまうのでほとんど危険ではありません。問題なのは、人工衛星などへの衝突です。宇宙ゴミの数が増えれば、衝突のリスクが高まります。特にロケットの打ち上げ時に衝突する可能性があります。宇宙ゴミは10km/秒のスピードで飛行しているので、1cmの宇宙ゴミが衝突するだけで人工衛星は破壊されてしまいます。このような事態はほとんどまれですが、砂粒程度でも、当たる場所が悪いと致命的な損傷になる場合があります。
まず宇宙ゴミの環境を正しく把握することが必要
宇宙ゴミが増えると、新たに人工衛星が打ち上げられなくなります。そうなると大きな損害です。また、問題なのは宇宙ゴミの状況がきちんと把握されていないことです。数はもちろん、位置と、それがどういう運動をして軌道はどうなのかというところまでわからないと、危険性を把握することはできません。また、安全な状態でも人工衛星の爆発など突発的な事故で環境がどう変化しているかをすぐに把握できなければ実用的ではありません。そこで、宇宙ゴミの環境を正しく把握するための研究が行われているのです。
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先生情報 / 大学情報
九州大学 工学部 機械航空工学科 航空宇宙工学コース 教授 花田 俊也 先生
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