未来の航空機や宇宙機を創造する、エアフレーム・デザイン
超音速旅客機コンコルドの挫折
地球の空を飛ぶ航空機と、ロケットなどの宇宙機とでは、機体の形はまったく異なりますが、空間を利用すると言う基本的な目的は同一のものです。機体空力形状のデザイン、エアフレーム・デザインでは、技術的なことはもちろん、使用目的や社会的なニーズなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。空気抵抗を少なくして速く飛ぶということも、考慮すべき要素の一つですが、大事なのはそれだけではありません。例えば、世界で初めて超音速というスピードで一般のお客さんを乗せた旅客機であるコンコルドは、燃費が悪く、騒音もひどかったためにあまり普及せず、現在では運航をしていません。
新しい航空機の形
現在、新たな形状として研究されている航空機のデザインとして、「翼胴融合機」があります。従来の航空機では、人が乗る胴体は主に円筒形になっていて、そこから左右に翼が伸びている形が主流です。しかし、空気力学的にいえば、抵抗にしかならない胴体部分を無くした翼だけの形のほうが無駄は無くなります。そこで、幅広で厚めの翼を胴体とみなした、魚のエイのような形をした翼胴複合機が提案されました。これは、従来のデザインに比べて、燃費や騒音の低減という点で優れているものです。
火星の空を飛ぶ航空機
地球の空だけでなく、火星の空を飛行探査するための航空機も研究されています。火星にはごく薄い大気があることがわかっていますので、それを利用します。火星探査機としては、地上走行型のものがすでにありますが、航空機であれば、上空からより広い範囲を観測できるほか、崖の断層を見ることもでき、火星の探査が大きく進むことが期待されています。
現在、当たり前に思われている航空機や宇宙機のデザインは、決して完成型というわけではありません。技術の進歩や社会的ニーズの変化、そして創造性によって、将来、まったく新しいデザインのものが誕生する可能性があるのです。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 システムデザイン学部 航空宇宙システム工学科 准教授 金崎 雅博 先生
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