星の爆発から、私たちの起源やミクロな世界を探る
宇宙は「わからない」の代表選手
これだけ技術発展や情報集積が進んでいる現在でも、実は世の中はわかっていないことだらけです。特に宇宙については、天体の進化や宇宙にあるエネルギーの95%の正体など、未解明な問題がたくさんあります。
そんな未解明問題の一つが、太陽の約10倍以上の質量を持つ「大質量星」が最終的に起こす「超新星爆発」です。星の爆発をコンピュータ上でシミュレーションし、その際にどんな物質が、どれだけのエネルギーが放出されるのか、それが宇宙にどんな影響を与えるのか、などを予測します。
私たちの起源
そもそも超新星爆発については、どういう仕組みで爆発が起こるのか、わかっていません。そこで、コンピュータ上に大質量星を作り、星がつぶれて爆発に至る様子を、物理の基本法則などを用いながら数値的に計算して、現象そのものと、それによる影響などを予測します。もし、私たちの近くで起こる超新星爆発を観測できたら、その結果と予測を比較して立証につなげていくのです。
この研究によって、爆発の性質だけではなく、爆発時に放出される元素などが分かります。例えば私たち人間の体を構成する炭素や酸素、鉄などは、超新星爆発で宇宙空間にばら撒かれたものだと考えられています。超新星爆発を知ることは、私たちの起源を知ることでもあります。
マクロとミクロを並行して解明
超新星爆発は、星の爆発というマクロな現象でありながら、ニュートリノと呼ばれる素粒子や原子核などのミクロな物理と密接に関わり合っています。具体的には、ニュートリノの振る舞いや原子核の硬さが、爆発の様子やエネルギー、爆発後に残る天体などに大きく影響します。つまり、超新星爆発の計算には、詳細で精密なミクロの物理が必要なのです。逆に、超新星爆発の計算や観測から、ニュートリノや原子核の性質に迫るような研究もあります。
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関東学院大学 理工学部 数理・物理コース 講師 古澤 峻 先生
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