ユニクロはなぜ強いか~その経営戦略に迫る~
経営戦略に重要な「4P」
「ユニクロ」は、日本では知らない人がいないほど有名なブランドです。では、なぜユニクロは「強い」のでしょうか? 「安い」「デザインや品質がいい」「宣伝がうまい」「店がたくさんある」など、さまざまな理由が挙げられると思います。これらの要素を整理すると、価格(プライス)、商品(プロダクト)、宣伝(プロモーション)、場所(プレイス)という4つのキーワードが浮かび上がってきます。この4つの「P」がマーケティングでは重要な戦略といわれており、ユニクロは4Pの要素すべてに強さを備えているのです。
強みを生かして、弱みを補う交渉力!
新しい商品は、まず企画やデザインがあり、それをもとに素材の開発や製造をし、販売するというプロセスを経て私たちの手元に届きます。ユニクロは主に企画・デザインと販売の機能を担っており、お店で吸い上げた消費者のニーズを商品企画に反映することができます。ただし、「汗を吸ったら発熱する繊維」を発案しても、それを実現する技術や設備をユニクロは持っていません。そこで、ユニクロは日本の繊維メーカー「東レ」と共同で、商品開発を推進することにしたのです。ただ仕入れ価格をやり取りするだけの関係ではなく、互いの「強み」を生かし、「弱み」を補い合う交渉で、他企業と提携していくことを「戦略的パートナーシップ」と言います。
企業を成長させるための「顧客の創造」
企業の利益のすべては「お客様」によってもたらされるものであり、「お客様」がいないと企業は成立しません。つまり、お客様を増やすことが企業の成長につながるのです。経営学者のドラッカーは企業の目的は「顧客の創造」であり、そのために必要なものが「マーケティングとイノベーション」だと説いています。ユニクロは自社のマーケティング機能と、戦略的パートナーシップによるイノベーション機能を持ち合わせることで、顧客をどんどん増やしているのです。このように経営学の理論と合致した実践によって、ユニクロは強い企業へと成長を遂げたのです。
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先生情報 / 大学情報
大手前大学 現代社会学部 現代社会学科 教授 芦原 直哉 先生
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