講義No.06288 メディア学

「お・も・て・な・し」に秘められたパフォーマンス力とは

「お・も・て・な・し」に秘められたパフォーマンス力とは

プレゼンテーションで重要な要素とは

東京への五輪招致をめざした日本の最終プレゼンテーションでは、滝川クリステルさんが行った「お・も・て・な・し」の仕草が話題になりました。プレゼンテーションを指導した専門家によると、当初は人指し指を立てる動作だったのですが、失礼な印象を与えることから、おむかえするようなあの手の動きに修正したとのことです。
プレゼンテーションは、1対多数の状況で、自分の言いたいことを伝え、相手から共感を得ることが最終目的です。そのためには、「何を言うか」も大切ですが、「どのように伝えるか」という言語以外の要素も重要なのです。

どうやって話を組み立て、表現するか

その要素のひとつが、話の組み立て方です。例えば、あなたがアルバイト中にケガをしたとします。それを友人に報告する時、「昨日、○○のバイトで、△△の仕事をしていて……」という構成で話していくと、相手はあなたが何を言おうとしているのか、はっきりわからないでしょう。そこで、まず「ケガをした」と言い、次にその理由を言うと、伝えたいことが明確になります。このように、「結論、理由、例、結論」という構成で話すことをCREC法と言います。ほかにも、「言いたいことがふたつあります」と言った時、『ふたつ』を指を立てて動作で強調すると、その後の話を整理しやすくなるし、聞き手に興味と関心を持たせるきっかけにつながると考えられます。

パフォーマンスのスキルを養う演劇の力

演劇には、プレゼンテーションに必要な多くの要素が含まれています。わかりやすく話すための基礎となる発声の訓練のほか、芝居を成立させるために舞台上の相手と呼吸を合わせることは、聞き手に応じた表現方法を身につけることにもつながります。また、観客にとって魅力的な作品を考えることは、他者と異なる自分の個性を見出し、それをいかに伝えるかという発想を養います。このように、演劇にはプレゼンテーションの現場で生かせる考え方やパフォーマンス力にもつながる多くの要素を含んでいるのです。

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大手前大学 建築&芸術学部 建築&芸術学科 准教授 瀬口 昌生 先生

大手前大学 建築&芸術学部 建築&芸術学科 准教授 瀬口 昌生 先生

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メディア芸術学

メッセージ

社会に出ると、自分の発言を不特定多数の人に伝える作業が求められます。話をするのが苦手な人もいると思いますが大丈夫です。大学生活の中でさまざまな経験をし、学んでいけばよいのです。どうすれば目の前の相手に自分の考えを効果的に伝えられるか。また、共感を得てもらうには、どんなことをすればいいか。これらを学び、生かせるようになれば、自分の仕事を人に認めてもらえることにもつながっていきます。人生の上でも貴重な4年間です。体験を繰り返しながら社会に自分を発信できる力が身につくよう、一緒に勉強していきましょう。

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