「良いパートナー」と出会うには ビジネスマッチング研究

「良いパートナー」と出会うには ビジネスマッチング研究

イノベーションに不可欠なパートナー探し

消費者ニーズの多様化などにより、製造業が優れた独自技術やアイデアを持っていても、自社だけで革新的な新製品を生み出すことが難しくなっています。そこでカギとなるのが、ほかの企業との連携です。しかし、大企業と違って経営資源が限られる中小企業やスタートアップは、パートナーとなる企業探しにも苦労しています。

どうやって出会うのか

連携にあたり、企業同士の出会い方は大きく4つあると考えられています。まずは展示会や業界団体といった、物理的・制度的な「場」を活用した出会いです。また、自社に足りない技術を明確にして、補完したい技術を持つ企業を探しに行く「探索型」もあります。さらに自社が持つ課題や技術を公開して、それに関心を示す企業を待つ「公開型」、仲介業者を通じてパートナーを探す「エージェント型」があるとされます。それぞれにメリットとデメリットがありますが、どの方法にも共通して重要なのが「情報」です。自社が持つ技術や求めるパートナー像、あるいはパートナー候補側が抱える課題や理想とされる連携の形、といった情報の整理とやりとりが出会いや連携を生み、製品化につながっていくのです。

知らない相手の方がいい?

従来の経営戦略の研究の多くは、既に成功した連携についての、パートナーに出会った後の活動内容に焦点が当てられていました。そのため、「どうやって出会うのか」や「どのようなパートナーが良いのか」については、研究の事例が少ないのです。そこで、ある研究では「出会い方」に着目し、企業へのアンケート調査を実施したところ、興味深い傾向が確認されました。製品化につながった連携の多くは、パートナーが事前に取引関係のない「未知の相手」でした。さらに、自社の事業とは異なる領域のパートナーとの連携の方が、新しい価値の創出に寄与していることも確認されました。これらの事例から、企業のパートナー探しのヒントが得られることが期待され、研究が続いています。

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先生情報 / 大学情報

秀明大学 総合経営学部 企業経営学科 准教授 相澤 鈴之助 先生

秀明大学総合経営学部 企業経営学科 准教授相澤 鈴之助 先生

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経営戦略論、経営学

先生が目指すSDGs

メッセージ

普段何気なく使っている製品やサービスについて、「なぜ自分はこれを選んだのだろう」と立ち止まって考えてみてください。スマホを買い替える理由、いつも同じお茶を選ぶ理由、よく使うアプリの選択などの背景には、企業の経営戦略が隠れています。そうした気づきが、あなたの世界の見え方を変えてくれます。私自身もある家電量販店のポイントサービスを使ううちに、マーケティング戦略に対する関心が高まり、学びを深めることができました。学びのきっかけは、いつも身近なところにあるのです。

先生への質問

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秀明大学の総合経営学部は、企業人として活躍できる能力を総合的に備えた人材を育成することを目的としています。幅広い進路に対応するため、「企業会計」「ビジネス」「起業」の3コースが設けられています。企業会計コースは企業の経理部門や税理士等の専門職をめざす進路を、ビジネスコースは一般企業への就職のほか公務員や大学院進学者への多様な進路を、起業コースは、将来、会社を創業し自分で経営したいという進路歩んでいくコースです。