オークションで扱うのは、美術品などとは限らない
IT企業の発展を支えるオークション
今、世界でさまざまな場所にオークションが使われています。例えば、現在世界で最も影響力のある企業であるGoogleは、検索サイトの広告slotから莫大な収入を得ていますが、そのslotをオークションにより販売しています。広告slotの場所や検索キーワードは無数にあり、より多くの収入を得られるようにそれぞれの広告slotに異なった価格付けをしていますが、オークションはそのような複雑な価格付けを迅速に行なっています。このようにIT企業の収入確保を通じて、オークションは社会・経済の変革に役立てられています。
日本はこんなところもガラパゴス?
現在なくてはならないと言える携帯電話ですが、通信会社がその事業を行うには電波の特定周波数帯の(排他的)利用権が必須なので、周波数帯の利用権には途方もなく大きな経済的価値があります。日本以外のOECD加盟国は、オークションを使って周波数帯利用権を通信事業社に配分しています。オークションのルールを工夫すると、電波という公的な資源を最大限に利用する事業社に公平かつ迅速に配分できるからです。その結果として、産業の発展にも寄与しています。
オークション研究が社会・経済を発展させる
オークション研究の対象は、当初単一の財(商品)を販売するオークションでしたが、現在では多数財を同時に販売するオークションに拡大しています。多数財オークションは、単数財オークションよりも複雑ですが、収入や効率性を増加させることも可能です。広告slotオークションや電波利用権配分オークションも、多数財オークションです。例えば、電波利用権の配分の配分では、複数の利用権の価格を同時に競り上げるオークション・ルールを使っています。利用権を一つずつ販売した場合には、必ずしも利用能力が高い事業社に利用権が配分されませんが、同時に競り上げるオークションでは、配分の効率性を達成できます。このように、オークションの研究が社会・経済を発展発展に寄与しています。
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