ナノサイズの制御技術で、未来の光LEDを作る
見えない光の不思議
空にかかる虹は、赤色から紫色まで7色に見えますが、実は目には見えない「光」が存在しています。赤の外側には、目に見えない「赤外線」があり、紫の外側には「紫外線」があります。テレビのリモコンには赤外線が使われていて、目には見えませんが、光の信号を送ってチャンネルを切り替えています。紫外線も目には見えませんが、大きなエネルギーを持っていて、殺菌や消臭などに使われています。紫外線の光源開発は未来の光技術としてとても重要です。
青色発光ダイオード(LED)は夢の光だった
人工的に色を作る電子部品の1つが、今日LEDといわれている「発光ダイオード」です。赤色やオレンジ色、緑色は早くから開発されましたが、青色LEDを作ることは難しく、1980年代までは研究者の夢でした。それは、青色は、赤色などより波長が短く、発光のエネルギーが大きいためです。1986年に名古屋大学で高品質の窒化ガリウム結晶の成長技術が開発されて、ようやく青色LEDは実現しました。さらに青色LEDを応用して白色LEDが開発され、普及したことによって、今日では長寿命で省エネルギーのLED照明が一般に用いられるようになっています。現在、青よりもさらに波長が短い紫外線光源の研究も進んでいます。紫外線のLEDは殺菌や消毒など医療分野のみでなく、環境技術として身近な未来の光源として、とても重要になっています。
欠陥の少ない結晶をめざせ
より美しく発光させるためのポイントは、半導体に使われる結晶の欠陥をいかに少なくするかということです。LEDは、サファイヤなどの基板の上に、数ナノメートル(髪の毛の10万分の1以下)ほどの厚さの膜を結晶成長することで作られています。ここで、違う材料を重ねた場合、欠陥を少なく結晶成長することは非常に難しいのです。歪みで割れることもあります。
研究者たちは工夫とアイデアで、欠陥の少ない結晶を作り、強い紫外線を出すLEDなどの光源開発をめざしています。
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先生情報 / 大学情報
三重大学 工学部 総合工学科電気電子工学コース 教授 三宅 秀人 先生
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