海の外来生物と人間の活動のかかわり

海の外来生物と人間の活動のかかわり

外来生物の正体とは?

池や湖のブラックバスや陸上のアライグマなど、外来種が異常に繁殖しているというニュースを耳にしたことがあるかもしれません。外来種、すなわち外来生物とは、それまで生息していなかった場所に人間が運びこんだ生きものを指します。
海の外来生物には、真っ黒で三角形をした「ムラサキイガイ」がいます。これは、1932年に日本で初めて見つかった外来貝類で原産は地中海、イタリア料理などでなじみのあるムール貝がこの貝です。ところが、今では日本のあちこちで繁殖しており、港の岸壁や岩場などでたくさん見られます。

人間に連れて来られた外来生物

ムラサキイガイが日本で初めて発見されたのは、兵庫県の神戸港でした。貿易が盛んな神戸港に出入りする船にくっつき、海を越えてはるばるやって来たのです。また、1970年代に、鉄鉱石を精錬するための石炭の需要が高くなり、オーストラリアから石炭を運ぶ船がたくさんやってきたことで、そのほかの外来貝類も移入してきました。外来生物は人間の活動の影響を受けているのです。

絶滅危惧種と外来の貝の関係

ムラサキイガイ以降、海外から日本に来て定着している海の外来貝類は、東南アジアの代表的な食用貝である「ミドリイガイ」、巻き貝の「サキグロタマツメタ」など、9種類が見つかっています。その一方で、日本国内で絶滅の危険にさらされている貝は500種類以上もあります。埋め立てなどによって干潟や内湾の環境が破壊され、これまでにいた種にすみやすい環境が失われ、一方で外来生物にすみやすい環境が人間によって作られていることが、海の外来生物の増加する最も大きな原因です。また、外来貝類が日本原産の貝を脅かす存在にもなっています。例えば、サキグロタマツメタはアサリなどの二枚貝に穴を開けて食べてしまいます。
原産地では天敵や競争する種に淘汰され、生態系に組み込まれた自然な形で生息している生物が、人間によってほかの場所に運ばれ、適応し繁殖することで、もともとその場所にいる生物を脅かす存在になっているのです。

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先生情報 / 大学情報

三重大学 生物資源学部 海洋生物資源学科 教授 木村 妙子 先生

三重大学 生物資源学部 海洋生物資源学科 教授 木村 妙子 先生

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海洋生態学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の研究テーマは、海の外来種や絶滅危惧種の生物の生態です。絶滅危惧種に関しては、その生物がどのように成長し、いつまで生きるのか明らかになっていないことも多いのですが、種の保存のためには生態を知る必要があります。三重大学は伊勢湾が近く、海洋生物を研究するのにぴったりの場所です。実際に海に出て、たくさんの調査を行います。私の研究室の学生が、日本で初めて発見された外来種のカニに「ミナトオウギガニ」と命名して学会で発表したこともありました。あなたも海に調査に行ってみませんか?

三重大学に関心を持ったあなたは

三重大学は、5学部を擁する総合大学です。教育・研究の実績と伝統を踏まえ、「人類福祉の増進」「自然の中での人類の共生」「地域社会の発展」に貢献できる「人材の育成と研究の創成」を目指し、学術文化の受発信拠点となるべく、切磋琢磨しています。