電子制御機器・製品の信頼性を支える半導体評価技術

電子制御機器・製品の信頼性を支える半導体評価技術

電子制御に使われる半導体

日常生活に欠かせないテレビやスマートフォンなどのデジタル家電には、「半導体」が使われています。半導体とは、電気を通す「導体」と電気を通さない「絶縁体」の中間の性質をもつ材料で、この性質を利用してさまざまな機器・製品の電子制御が行われています。半導体(素子)を金属等の基板に搭載して金属線で配線し、また、外界から保護するために樹脂等で囲み、一つの電子部品になります。特性が異なる複数の素材を組み合わせていますが、そのために不具合が出る可能性もあります。

電子部品の寿命を評価する

例えば、新幹線や発電所などに用いられる電子部品では、高電圧・大電流を制御するため大きな発熱を伴います。電子部品中の金属ワイヤとチップの接合部分は電流が流れると発熱し、その結果ワイヤが伸びようとします。一方で、チップは温度による伸び縮みはほとんどありません。そのため、金属ワイヤとチップの接合部には大きな力がかかります。電流のオンオフを繰り返すと、金属疲労によるき裂が入り、最終的に接合部が壊れて故障が発生します。
このような問題に対応するために、どの程度の繰り返し回数まで耐えられるか(寿命)を評価する手法の構築が重要です。そこで、接合部にかかる力を機械的に再現して、学問的な「評価指標」を構築する研究が進められています。評価指標があれば、どの製品・機器でも共通して評価できるため、近年のハイスピードの製品開発にも有効です。

進化する半導体技術

近年では半導体素子の微細化が進み、その大きさは物理的な限界に近づいてきました。電子部品のさらなる高性能化のために、半導体チップの厚みを薄くして積み重ねる方法が模索されています。しかし、薄くすると半導体チップ自体が変形しやすくなり、回路特性への影響も懸念されます。つまり半導体が進化すれば、それを評価する方法も新たに生み出さなければならないのです。

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鹿児島大学 工学部 機械工学科 機械工学プログラム 准教授 小金丸 正明 先生

鹿児島大学 工学部 機械工学科 機械工学プログラム 准教授 小金丸 正明 先生

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材料力学、機械材料学

メッセージ

最近では「コスパ」や「タイパ」という言葉がよく聞かれて、人付き合いにも効率を重視する風潮があります。もちろん効率的なのはすばらしいことですが、それだけでうまくいくとは限りません。例えば、利益を求めずにつながっていた人と、思わぬ研究の協力体制が生まれたこともありました。壁にぶつかった時に助けてくれる人を、予測して付き合うことなんてことは不可能です。ですから、目先の効率を優先して動くのではなく、広い人とのつながりを大切にしてほしいです。

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鹿児島大学は、日本列島の南に位置し、アジアの諸地域に開かれ、海と火山と島々からなる豊かな自然環境に恵まれた地にあります。この地は、我が国の変革と近代化を推進する過程で、多くの困難に果敢に挑戦する人材を育成してきました。このような地理的特性と教育的伝統を踏まえ、鹿児島大学は、学問の自由と多様性を堅持しつつ、自主自律と進取の精神を尊重し、地域とともに社会の発展に貢献する総合大学をめざします。