講義No.08181 教育

保護者を「学校のサポーター」に変えた、ある先生の挑戦

保護者を「学校のサポーター」に変えた、ある先生の挑戦

保護者の不安から生まれる不信や不満

多くの保護者にとって、わが子は一番大事な存在ですし、教育への関心が高い人も少なくありません。ところが幼稚園や保育園までは、毎日の送り迎えや連絡帳などがあり、子どもがどのように過ごしているかがよくわかるのに、小学校に入学すると、途端に子どもの様子が見えにくくなる、という声をよくききます。すると保護者は不安を感じ、ときには学校への不信や不満をつのらせ、極端な場合には自己中心的で無茶な要求をするといったこともあります。

学級通信で、保護者がサポーターに変化!

保護者が安心できるためには、どうしたらいいのでしょうか? 保護者への学級通信を毎日配っている、ある小学校の先生のクラスを調査したところ、徐々に保護者の意識が変化していく様子が見てとれました。最初は、わが子ばかりに関心があったのに、やがてほかの子どもたちにも興味を持つようになり、「こういう取り組みっていいね」「このクラスの活動を応援したい」とサポーターになっていったのです。学級通信には、子どもたちの個人名を出して、一人ひとりの発言や行動を詳しく書いてありました。教育の専門家である先生が、保護者とは違う目線で学校生活を知らせることで、保護者は安心し、学校活動に協力的になったのです。

みんなにとってよい授業は、みんなでつくる

学校には、勉強が得意な子、引っ込み思案な子など、いろいろな性格や背景を持った子どもが集っています。そんな子どもたち全員にとってよい授業なんて不可能だ、と思うかもしれません。しかし、みんなで考え、いろいろな意見に耳を傾け、わからないことを聞いたり教えたりしながら問題解決を探っていくことで、全員にとっての「質の高い学び」は可能です。
みんなに開かれ、みんなのためになる教育を「公教育」と呼びますが、その実現のためには、質の高い授業をめざして努力すること、そして、子どもたち一人ひとりの言動をしっかり見つめ、子どもたちの姿を保護者たちに伝えていくことが、教師の大切な役割になるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

三重大学 教育学部 学校教育 准教授 大日方 真史 先生

三重大学 教育学部 学校教育 准教授 大日方 真史 先生

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教育学

メッセージ

いろいろな子どもたちが集まってくる学校で、「みんなにとってよい学び」を探すためには、一緒に希望を語りあい、一緒に希望をつくっていくことが大切だと思います。
教育学部は、教師をめざすさまざまな仲間が集い、ともに教育について考え、学んでいけることが魅力です。先生になるためには、「教育をどう考えるのか」「子どもをどういう存在として見るのか」など、自分の核になるものが必要となります。大学でそれを新しくつくったり、つくりなおしたりしながら、一緒にがんばりましょう。私も力を尽くします。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

三重大学に関心を持ったあなたは

三重大学は、5学部を擁する総合大学です。教育・研究の実績と伝統を踏まえ、「人類福祉の増進」「自然の中での人類の共生」「地域社会の発展」に貢献できる「人材の育成と研究の創成」を目指し、学術文化の受発信拠点となるべく、切磋琢磨しています。