デモ行進はなぜ許されているのだろう?
デモ行進はなぜ行われる?
公の道路などで、集団で自分たちの意見を主張するデモ行進に参加した経験のある人はまだ少ないかもしれませんが、東日本大震災以降、各地でデモ行進が活発になっています。なぜデモ行進が行われるのでしょうか。また、政権を批判するような主張のデモ行進でさえ、憲法で手厚く保護されているのはなぜなのでしょう。それは、憲法21条に定められた「表現の自由」に基づく行為であり、民主主義の根幹に関わることだからです。
表現の自由に基づく「知る権利」
あなたは、どこから世の中の情報を集めていますか? ほとんどの人は、テレビのニュースや新聞、雑誌、インターネットなどマスメディアからでしょう。例えば選挙のとき、多くの国民はマスメディアの情報を元に、誰に投票するかを決めることになります。もし、都合の悪い情報が隠されていたとしたら、正しい判断はできません。そこで、「知る権利」の一環として、誰もが国の行政機関などに対して情報公開を求めることができるのですが、これも「表現の自由」と結びついています。
デモ行進が許されている意義とは?
マスコミに対して紙面や番組などに自分の意見を採用してもらえれば、多くの人々に自分の考えを伝えることができるでしょう。ただ、マスコミにも編集の自由がありますから、簡単に取り上げてくれるわけではありません。そこで、マスメディアで意見を取り上げてもらえない人々に残された主張の場が、街頭でのビラ配りや演説、デモ行進なのです。こういった行動を通じて、自分たちの意見を世の中に広げていき、世論を喚起したり、国会議員に伝えて政策に反映したりしてもらえれば、それは一つの成果といえるでしょう。これが、民主的な政治プロセスにおいて「表現の自由」が有している意義なのです。
デモ行進は、交通渋滞を引き起こしたり、あるいは、静穏をある程度害したりするかもしれません。それでもそれが憲法で保障されているということは、その主張に賛成か反対かは別として、自由で民主的な国家に暮らしていることの証なのです。
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