講義No.08677 史学・地理学

「古文書」を読み解き、新たな日本史をひもとく!

「古文書」を読み解き、新たな日本史をひもとく!

江戸時代の「古文書」は膨大にある

日本史という学問分野は「古代」「中世」「近世」「近現代」と、大きく4つの年代に分けることができ、これらの歴史を学ぶには、さまざまな史料を分析することが必要です。文字のない時代は遺跡や遺物などから歴史を探り、漢字が伝来してからの史実は、さまざまな文献からも知ることができます。
江戸時代は、現代のような公的教育はなかったものの識字率が高く、手紙、あいさつ、問い合わせや日記など、文書でやり取りが行われていました。「古文書」も膨大に残っており、それらを読み解くことで史実に近づくことができるのです。1つの事実を解明するには、たくさんの裏付けが必要なので、文書=情報量が多い江戸時代は歴史を学ぶ確かな手応えを感じることができる時代と言えます。

言葉遣いや紙質から身分がわかる

身分社会であった江戸時代、その様子は古文書のなかにも見ることができます。例えば、徳川将軍が使用したのは厚みのある大高檀紙(おおたかだんし)という高級和紙で、大きさも見た目も手触りもほかの紙とは明らかに違っていました。一方、庶民の使った文書では、相手の身分や立場に応じて、相手を敬う表現が使い分けられていました。たった一枚の紙の違い、一文字の言葉遣いの違いから、数多くの歴史的事実を解明していくことができるのです。

教科書に載っている歴史が正しいとは限らない!

今、高校の教科書に載っていることが、すべて不変の事実とは限りません。以前の研究に対して新たな見解が出されたり、新たな史料が発見されたりして、後に修正が加えられることはよくあることで、そうやって歴史はどんどん変わっていくのです。
江戸時代の古文書として見つかっているのは氷山の一角で、まだ見つかっていないものもたくさんあるはずです。誰も読んだことのない当時の文書を、あなたが最初に読むことになる可能性も十分にあります。先入観にとらわれず、1枚の古文書が語ってくれるたくさんの情報を読み解くことで、新しい日本史を生み出していくことができるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北大学 文学部 人文社会学科 准教授 籠橋 俊光 先生

東北大学 文学部 人文社会学科 准教授 籠橋 俊光 先生

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日本史学、歴史学

メッセージ

日本史は覚えるだけのものではありません。もちろん記憶することも必要ですが、当時の史料を一つひとつ読み解きながら、広く深く研究していくのが大学での日本史の学びです。特に江戸時代の古文書は膨大です。古文書をすらすら読み、意味を理解する力が必要ですから、昔の言葉、例えば漢文や古文がわかるとよいでしょう。
高校の教科書も段々変わっていくように、歴史はどんどん変わっていきます。たとえ高校の日本史を選択していなくても、人物でも時代でも、興味があれば深く学ぶことのできる学問です。一緒に研究していきましょう。

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建学以来の伝統である「研究第一」と「門戸開放」の理念を掲げ、世界最高水準の研究・教育を創造しています。また、研究の成果を社会が直面する諸問題の解決に役立て、指導的人材を育成することによって、平和で公正な人類社会の実現に貢献して行きます。社会から知の拠点として人類社会への貢献を委託されている東北大学の教職員、学生、同窓生が一丸となって、「Challenge」、「Creation」、「Innovation」を合言葉として、価値ある研究・教育を創造して、世界の人々の期待に応えていきたいと考えます。