「古文書」を読み解き、新たな日本史をひもとく!
江戸時代の「古文書」は膨大にある
日本史という学問分野は「古代」「中世」「近世」「近現代」と、大きく4つの年代に分けることができ、これらの歴史を学ぶには、さまざまな史料を分析することが必要です。文字のない時代は遺跡や遺物などから歴史を探り、漢字が伝来してからの史実は、さまざまな文献からも知ることができます。
江戸時代は、現代のような公的教育はなかったものの識字率が高く、手紙、あいさつ、問い合わせや日記など、文書でやり取りが行われていました。「古文書」も膨大に残っており、それらを読み解くことで史実に近づくことができるのです。1つの事実を解明するには、たくさんの裏付けが必要なので、文書=情報量が多い江戸時代は歴史を学ぶ確かな手応えを感じることができる時代と言えます。
言葉遣いや紙質から身分がわかる
身分社会であった江戸時代、その様子は古文書のなかにも見ることができます。例えば、徳川将軍が使用したのは厚みのある大高檀紙(おおたかだんし)という高級和紙で、大きさも見た目も手触りもほかの紙とは明らかに違っていました。一方、庶民の使った文書では、相手の身分や立場に応じて、相手を敬う表現が使い分けられていました。たった一枚の紙の違い、一文字の言葉遣いの違いから、数多くの歴史的事実を解明していくことができるのです。
教科書に載っている歴史が正しいとは限らない!
今、高校の教科書に載っていることが、すべて不変の事実とは限りません。以前の研究に対して新たな見解が出されたり、新たな史料が発見されたりして、後に修正が加えられることはよくあることで、そうやって歴史はどんどん変わっていくのです。
江戸時代の古文書として見つかっているのは氷山の一角で、まだ見つかっていないものもたくさんあるはずです。誰も読んだことのない当時の文書を、あなたが最初に読むことになる可能性も十分にあります。先入観にとらわれず、1枚の古文書が語ってくれるたくさんの情報を読み解くことで、新しい日本史を生み出していくことができるのです。
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先生情報 / 大学情報
東北大学 文学部 人文社会学科 准教授 籠橋 俊光 先生
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