憲法の解釈は社会の変化とともに変わるもの
生活は憲法に守られている
憲法において、国民は「学問の自由」や「表現の自由」など、さまざまな権利を保障されています。しかし普段暮らしている上では、あまりそのことを意識していません。もし権利が保障されていなければ、少数派の意見は社会の中で黙殺されてしまいます。また多数派の人たちも、さまざまな形で窮地に陥り、被害者になる可能性があります。その際、声を上げて救済を求めることができるのは、憲法で権利が保障されているからです。憲法があることにより、国民の生活のベースが守られていると言えます。
権利を主張しない日本人
人権の先進国であるアメリカやフランスの人たちは、自由に権利を行使します。街頭運動やデモ行進が当たり前のように行われ、労働者や社会的マイノリティに属する人たちが意見を述べているのです。こうした状態は社会の中で息苦しく、生きにくさを感じているのであれば、しごく当然のことです。まだ日本にはこのような考え方は根付いていませんが、いざ何かが起きたとき意見を出さなかったがゆえに不利益を被ってしまうならば、その社会はデモクラシーの社会とは言えません。日本人も自分たちが権利を持っていることを自覚し、声を上げていく必要があります。
憲法の条文は抽象的
実は国民に保障されている権利は、固定的なものではありません。憲法はたった103条しかない上に1条ずつの条文は短いので内容は抽象的です。もし固定化してしまうと、社会の変化に対応することができません。例えば憲法ができた頃にはインターネットはありませんでしたし、プライバシーや個人情報、環境について声高に叫ばれることもありませんでした。
刻一刻と変わる社会に対応するため、弁護士や法学者は常に権利の中身を話し合う必要があるのです。これはプライバシーや環境権といった新しい権利だけでなく、表現の自由などの古典的な権利でもまったく同じです。言うなれば、社会とともに法も発展していくものなのです。
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先生情報 / 大学情報
成城大学 法学部 教授 松田 浩 先生
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