中国の環境問題への取り組みに、私たちが学ぶべきこととは?

中国の環境問題
広大な領土と14億人を超える人口を抱える中華人民共和国は、環境問題の観点から見ても、国際社会に非常に大きな影響を及ぼしています。
例えば、中国は世界中の産出量のおよそ半分にあたる量の石炭を、主に火力発電や暖房などの目的で消費しています。そうした石炭の燃焼によって生じる二酸化炭素は膨大な量に上り、中国は世界最大の二酸化炭素排出国となっています。世界規模での地球温暖化のこれ以上の進行を食い止めるには、中国国内での二酸化炭素の排出規制が欠かせません。中国の環境政策の動向次第で地球温暖化の行く末が左右されると言っても過言ではないのです。
鉱山の排水による水質汚染
中国国内で、鉄や銅を産出する鉱山は内陸部に位置する場合が多くあります。そこでの鉄鉱石などの精錬過程で生じる有毒な物質を含む排水が河川に流れ込み、周辺流域の住民に深刻な健康被害をもたらしたという事例も、過去にいくつか確認されています。河川への有毒物質の流入を食い止めるには、ダムのような設備によって汚水をせき止め、有毒物質を沈殿させた上で排水処理を施す必要があります。しかし、コストや運用面での課題もあり、導入事例はあまり多くありません。廃鉱山でそうした対策が施されている地域はありますが、現役の鉱山では、そうした対策はなかなか浸透していないのです。
ほかの国々が学ぶべきことも多い
共産党の一党独裁体制が現在も敷かれている中国では、たとえ多数の被害者がいる深刻な環境汚染であっても、報道されたり裁判沙汰になったりすることはほぼありません。その一方で最近では、中国は環境問題に関してほかの国々よりも厳しい規制を敷いており、徹底した管理を行うなど、努力の形跡が見られます。実は、再生エネルギーの利用量でも中国は世界一で、日本で現在使用されている太陽光パネルも、大半は中国から輸入したものです。国を挙げて環境問題に取り組んでいる中国の姿勢には、日本やほかの国々も、学ぶべきところが多いと言えるでしょう。
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龍谷大学政策学部 政策学科 教授櫻井 次郎 先生
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環境政策学、中国法先生への質問
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