どこまで許される? 商標法と表現の自由

商標権ってどんなもの?
商標法は、企業やブランドのロゴやマークなど商品やサービス(役務)の出所を区別する表示を保護しています。例えば「夢ナビLIVE」も商標登録されています。
企業は、特許庁に出願して、問題がなければ、商標登録が認められ、商標権が発生します。最近では、文字や図形だけでなく「色彩のみからなる商標」や「音商標」など、新しいタイプの商標も認められるようになりました。
商標登録により、企業はその商標を類似する商品やサービスについて他の企業に使われることなく安心して自分で使えることになります。そして、消費者も、商標を頼りにして買いたい商品やサービスを見つけることができます。
一流ブランドとの「騒動」
以前「ルイ・ヴィトン」の日本法人が、アート作品「バッタもん」の展示中止を求めた騒動がありました。「バッタもん」は「ルイ・ヴィトン」のモノグラムを使い昆虫のバッタをかたどった立体作品でした。また、高級時計「フランク・ミュラー」のパロディと思われる「フランク三浦」の商標登録が裁判で争われたものもあります。
このように、商標権は、他の人の芸術活動や表現を制約するという側面があります。これは憲法で保障された「表現の自由」の問題でもあります。もちろん、有名な商品名を、他の企業が自分の商品に勝手に使うのは問題であり、そのような表現は規制されるべきです。他方で、芸術活動やパロディについて同じように考えてよいのかという問題があります。
使える言葉が少ない?
現在使用していない商標でも商標登録することができます。このため、企業は使う可能性のありそうなものを多数登録しています。以前の調査では、登録されている商標の半数以上が使用されていないとの結果が出たことがあります。最近では、多数の商標登録により、新たに商標として使える言葉の「枯渇」を指摘する声も出ています。新規参入する企業が適切な商標を使えるように、商標登録制度を考えていく必要があります。
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