「嫌なら辞めれば」では解決しない! 働き方・働かせ方の問題とは
「ヒト」は企業の資源のひとつ
企業にはヒト・モノ・カネ・情報の4つの資源があります。近年は労働生産性の向上という視点から、ヒトという資源の活用法について注目が集まっています。しかし、ヒトという資源には意思があるため、活用にあたってはさまざまな課題が生まれます。現在、日本ではテレワークの導入などの働き方改革に取り組んでいますが、「ヒトという資源をどう活用するか、活用にあたって発生する課題にどう対応するのか」という問題を研究することは、私たちが、将来、より良い環境で働くことにもつながります。
「嫌なら辞めれば?」で済ませてはいけない
「働き方」は、労働者視点の言葉です。これを企業視点の言葉に直すと「働かせ方」になります。労働者が望む「働き方」と企業が望む「働かせ方」の方向性は、常に一致するとは限りません。企業の「働かせ方」に無理があると、最悪の場合、過労死・過労自殺という事態をも招いてしまいます。
「嫌なら会社を辞めればいい」と自己責任論を主張する人も多くいます。しかし、企業の「働かせ方」が不適切で多くの労働者が困っている場合、労働者が労働組合などを通じて企業に働きかけ、経営を、ひいては社会全体の「働き方」・「働かせ方」を変えていく必要があるでしょう。「働き方」・「働かせ方」を見直すことは、労働者・企業の双方にとって大きな意味があります。
働かせ方の見直しは地域活性化にもつながる
女性活躍や多様な人材の活用が模索される背景に、従来の日本企業が、男性的な長時間勤務もいとわず働く人材を求めてきたことが挙げられます。しかし、現在はそのような「働かせ方」で企業が存続することは難しくなりつつあります。特に地方では、その傾向が顕著であり、多くの若者がより良い労働環境を求めて都市部へ流出しています。企業が「働かせ方」を見直せば、地方からの人口流出に歯止めをかける可能性も出てくるでしょう。「働き方」・「働かせ方」を見直す研究には、地方の社会・経済を活性化させる可能性もあるのです。
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