ネット時代に求められる情報を見極める力

ネット時代に求められる情報を見極める力

テレビCMは規制だらけ

テレビでは膨大な数のCMが放映されており、我々はそこから多くの情報を得ていますが、実は、広告の表現や内容はさまざまな規制を受けています。広告を規制するものには、法律のほか、業界の自主規制もあります。また、テレビなどのマスメディアの広告は、莫大な費用がかかるため、広告を出せる主体は限られます。つまり、マスメディアの広告を見る我々は、得られる情報をさまざまな形で制限されているのです。

自由空間のネットならではの危険や落とし穴

旧来のマスメディアをしのぐ存在になったインターネットですが、法律では、ネットを広告媒体とみなしていないため、法規制の対象になりません。また、ネットでは、情報を発信するのに費用も手間もかからないため、国や企業から個人まで、あらゆる主体がさまざまな情報を発信しています。そうなると、情報操作など起こり得ないと考えがちですが、実は、ネットでも、我々は情報を操作されているのです。
例えば、商品を評価するサイトで、ある商品を高く評価するコメントが掲載されていても、それがやらせではないという保証はありません。あるいは、好意的な評価が多くても、その商品が必ずしも優れているとは言えません。悪い評価が掲載されていない可能性もあるからです。つまり、ネットでは、情報の発信者が流したい情報だけを発信しているために、その情報だけを頼りにすると、誤った判断を下しかねないのです。

ネットの情報を鵜呑みにしない

それにもかかわらず、ネットでの情報発信を法律で規制することは簡単にはできません。むやみに取り締まろうとすれば、憲法で保証された表現の自由を制限しかねず、そうなると、今度は、「法」によって情報操作されてしまうからです。
多くの人が日常的に利用するネットですが、そこで提供される情報を鵜呑みにせず、例えば、1つのこともさまざまな角度から情報を集めた上で、何が正しいのかを見極めるなど、情報を扱う力を磨くことが求められています。

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中央大学 法学部  教授 橋本 基弘 先生

中央大学 法学部 教授 橋本 基弘 先生

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法学

メッセージ

法学部というと堅苦しいイメージがありますが、法律学は大学の歴史と同じくらい古い学問です。つまり、人がいる限りはトラブルがあり、それを解決するための技術や方法を学ぶのが法律学なのです。したがって、法律学は、社会で生きていくために欠かせないものです。
法律学に向いているのは、何かが秀でている人ではなく、むしろ、少々勉強は苦手でも、何か悪いことに憤りを感じたり、正義とは何かと考えたりするような人です。純粋な正義感を持った人に、ぜひ法律学を学んでもらいたいと思います。

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