世界の武力紛争を終わらせるには?
国際法における安全保障法とは?
国際法は、国と国とが関わらざるを得ないところで生じてきた「国家間の関係を律する法律」です。1648年以降に形成されてきた伝統的な国際法として海洋法、外交法、戦争法があり、戦間期には戦争を防止するための安全保障法、1960〜70年頃から国際組織法や国際環境法といった新しいルールが作られてきました。
安全保障法は、武力紛争を防止しようとするルールです。第一次世界大戦以前は、戦争自体が国際法で禁止されていませんでした。しかし、戦争の悲惨さを目の当たりにした国際社会は、戦争そのものを禁止して平和的な解決方法を模索するようになりました。今日では、武力行使は原則として禁止されており、自衛権の行使が例外として認められています。
武力紛争の終わらせ方
安全保障法では、武力紛争の開始については詳しいルールがありますが、終結についてはほとんど触れられていません。そこで、武力紛争における諸国の実行の積み重ねに含まれる共通の内容から、慣習法としての「国際紛争終結法」を見いだそうとする試みがなされています。第二次世界大戦以降の武力紛争は、休戦協定を契機に終結に向かうケースがほとんどです。では、第二次世界大戦以降、休戦協定はどのような条件で結ばれたのでしょうか。分析から、「国境線までの撤退」と「武力行使の恒久的停止」という共通項が浮かび上がってきました。第二次世界大戦以前は、勝った国が敗戦国に対して自由に和平条件を押し付けることが一般的でしたが、その後は変化しているのです。
国際社会の安定のために
国際法の研究は、単に法律の枠組みを理解するだけでなく、実際の紛争解決においても大きな役割を果たします。例えば、ウクライナとロシアとの紛争やイスラエルとガザとの紛争においてもさまざまな終結方法が提案されており、その妥当性を評価するために国際法の規定が問われています。過去の紛争事例を分析して未来の紛争解決に役立つ知見を提供することは、国際社会の安定を維持するために欠かせないものです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
神戸市外国語大学 外国語学部 国際関係学科 准教授 廣見 正行 先生
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