交差点での交通事故防止につながる「ラウンドアバウト」

交差点での交通事故防止につながる「ラウンドアバウト」

日本でも導入が始まったラウンドアバウト

毎年4000人を超える交通事故による死者数を減らすためには、交通安全指導やルールの徹底に加え、道路の構造を工夫することも重要です。例えば、「ラウンドアバウト」は、交差点中央に島をつくり、その周りの環道を車が周回しながら、進行方向に進むタイプの交差点で、信号を設けず、車が環道へ入る際は、環道を走る車が優先というルールに基づいて車の流れを制御します。欧米諸国では、一般的ですが、日本では、これまでほとんど導入されてきませんでした。しかし、近年、日本でもラウンドアバウトへの関心が高まっており、2013年2月には本格的なものが導入されています。

なぜ死亡事故が起こりにくいのか

ラウンドアバウトでは、交差点の中央に島があるため、車の速度は自然と30km以下に抑えられ、その結果、大きな事故が起こりにくく、実際、死亡事故の件数は、従来型の交差点の9分の1から10分の1と、極めて少ないことが報告されています。また、信号機がないので、停電などの影響を受けることもありません。
交通量が多い道路では、環道に入れないと考えられがちですが、その場合は、環道を2車線、3車線に増やすことで、対応できます。ただし、ラウンドアバウトが一般的ではない日本では、交通量の少ない道路で1車線だけで導入することから始めています。

道路の構造を工夫して、交通事故を予防

ヨーロッパでは、郊外から都市部に入る交差点にラウンドアバウトをよく見かけます。ラウンドアバウトがあると、必然的に車の速度が抑えられるため、「ここから街中なので速度を抑えましょう」という意識づけにも活用されているのです。ラウンドアバウト以外でも、交差点の手前に起伏を設けることで車の速度を落としたり、道路の右側に段差を付けることで自転車の右側走行を防いだりするなど、道路設計の工夫により、自然に交通安全が守られ、交通事故を防止することができるのです。

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秋田大学 総合環境理工学部 社会システム工学科 教授 浜岡 秀勝 先生

秋田大学 総合環境理工学部 社会システム工学科 教授 浜岡 秀勝 先生

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土木工学、システムデザイン工学

メッセージ

土木工学は、安全で安心な社会環境をつくることをめざす学問分野です。
その中で、私は、交通工学の研究をしています。交通工学では、我々の身近に起きていることを研究の対象にしています。例えば、交通事故や交通渋滞などのない社会空間をつくるための研究もその一つです。私の究極の目標は、運転者が特別意識しなくても、あるいは、道路標識がなくても安全に走行できる道路をつくることです。あなたも、この研究に興味を持ったら、ぜひ、秋田大学に来て一緒に研究しましょう。

秋田大学に関心を持ったあなたは

地球を舞台に活躍する資源スペシャリストを養成する「国際資源学部」、教育分野や地域社会における現場実践力を養う「教育文化学部」、地域医療の核となり人々の健康と福祉に貢献する「医学部」、独創的な発想と技術力を育む「理工学部」の四学部が連携し、地域に根ざし世界に発信する教育・研究拠点をめざしています。
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