公共交通を通して描く未来へのビジョン
環境に配慮したまちづくり
脱・車中心社会をめざして、排気ガスを出さない路面電車の利用を促進するなど、先進国が足並みをそろえて公共交通を見直す時代がやってきました。環境に配慮したまちづくりのためにも、バスや地下鉄など公共交通の活用は、これからの時代に不可欠なものとなっています。
公共交通を利用してもらうために
公共交通をより多く利用してもらうために、時間や料金も含めてどの程度のサービスレベルが必要かを提案するのも、交通計画の仕事です。さらに近年は、強制的に公共交通を利用させるのではなく、公共交通が環境に優しいことや、歩くことが増えて健康にもよいなど、心理的な面に働きかけることで、公共交通に転換してもらう取り組み「モビリティ・マネジメント」が注目を集めています。
札幌市でもこの取り組みを検討していますが、人々を無理なく転換させるためには、心理的な面と高度なサービスレベルの双方が必要となります。例えば、最近のデータによると、札幌市民は休日を郊外で過ごす人が多く、都心部に出かける人は減っています。都心に行きやすくするために、気軽に足を運べる公共交通体系や料金システムを整備することも必要です。
人々の暮らしを豊かにするために
交通は人を対象とした学問です。経済効果を考える場合は経済学、人とのつながりでは社会学や心理学、制度や法律では法学の知識が必要です。こうした広い範囲の知識を学び、応用するからこそ、交通計画は面白いのです。
都市にはいろいろな人々が住んでいます。一部の人だけが豊かになるのではなく、すべての人々の暮らしを豊かにする方法論を考えることが必要です。
少子高齢化が進むこれからの時代、より豊かな生活を求める前に、いま当たり前と思う普通の生活すらおびやかされる事態に直面することも考えられます。それだけに、多方面の問題を同時に扱いながら、交通の観点から未来へのビジョンを示していく、交通計画という学問の重要性が、ますます高まるはずです。
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