スマートフォンの中の小さな機械とは?
スマートフォンの中にあるMEMSとは?
スマートフォンにも使われているCPU(中央演算処理装置)の中には、毛髪の1万分の1という細い線が駆け巡っており、この線を電子が走ることで信号が処理されます。CPUなどを作る半導体製造技術を応用すると、高性能な電子回路パーツだけでなく、小さな動く機械部品も組み込んだ「微小電気機械システム(MEMS)」をまとめて作ることができます。超小型・高性能・低コストという特徴を持つMEMSはスマートフォンだけでなく、自動車のセンサなどあらゆる場面で活用されています。
CPUやMEMSの作り方
半導体製造技術の中でも一番中心の技術が、フォトリソグラフィと呼ばれる印刷技術を応用した光を使った加工技術です。印刷技術を基礎とするため、平面的ですが、高精細で大面積の加工ができ、大量生産によって、高性能なのに安くすることができます。
スマートフォンの中の加速度センサは、MEMS応用の代表例です。センサの中の質量に加速度が加わると力が発生します。その力をバネと電気容量の関係を用いて導くことで加速度が計測できます。電気容量の変化を精度良く見るために、人の毛髪の100分の1以下の電極がたくさん並んだ櫛歯(くしば)構造がセンサに組み込まれています。
IoTを支える小型発電機
現代はIoT(モノのインターネット)化が進み、いろいろなモノがインターネットとつながるようになってきました。しかしIoT社会を実現させるためには、膨大な数のセンサとそれを動かす電力が必要です。そこでMEMSを応用し、環境中の小さな振動エネルギーを電気エネルギーに変換する小型発電機が開発されました。大きさはボタン電池と同じくらいです。この技術は橋やトンネルなどのメンテナンスに応用できます。現在は橋やトンネルをたたいたときに聞こえる音で状態を検査していますが、時間や人手がかかります。車の通過時に発する振動で発電するシステムを組み込んだセンサが設置してあれば、橋やトンネルの状態を常時確認することができるわけです。
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群馬大学 理工学部 電子・機械類(知能制御プログラム) 教授 鈴木 孝明 先生
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