身体に障がいのある人を支援する「理学療法士」
基本動作を取り戻すために
寝返りしたり、起き上がったり、座ったり、立ったり、歩いたりという、人間の基本動作が困難になった場合、それを取り戻す支援をするのが、理学療法士の主な仕事です。基本動作が困難になるのは先天的な場合と、病気や事故などの後天的な障がいによる場合があります。その症状は人によって異なり、症状の違いによって注意項目が変化します。医師の処方をもとに、理学療法士は検査を行い、対象者の情報を正しく評価し、プログラムを作ります。
基礎医学の習得が不可欠
対象者の情報を正しく評価するには、解剖学や運動学、生理学といった基礎医学の知識は不可欠です。骨格、筋肉、神経などの体の構造を知らなければ、患者さんの症状を理解することも、回復を必要とする身体的機能を把握することもできません。基礎医学を習得してはじめて、身体運動学や臨床医学へと進むことができます。異なる症状に対応するには、基礎となる知識こそが重要になるのです。
もちろん技術も必要で、それは経験とともに少しずつ備わっていくという側面もあります。しかし、就労年数にかかわらず、あらゆる事象に対応することが理学療法士には求められます。そのためにも、日々の絶え間ない努力が不可欠です。
ゆっくりきちんと向き合うこと
また、体のどこが悪くて、どこが使えるのかを見極めるためには、患者さんとゆっくりじっくり向き合い、きちんとコミュニケーションをとることも非常に大事です。自分の思いや感覚をうまく表現できない患者さんもいますし、表面上だけを見て評価してしまうと、治るものも治らなくなってしまいます。表面には表れない、根底にある問題を見出すためにも、患者さんとしっかり向き合う必要があるのです。
現在、理学療法士は医療や福祉の現場だけでなく、基礎研究や予防医学、プロスポーツの分野にも、そのフィールドを広げています。理学療法士に対するニーズは今後ますます拡大していくでしょう。
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