講義No.06799 医療技術

身体に障がいのある人を支援する「理学療法士」

身体に障がいのある人を支援する「理学療法士」

基本動作を取り戻すために

寝返りしたり、起き上がったり、座ったり、立ったり、歩いたりという、人間の基本動作が困難になった場合、それを取り戻す支援をするのが、理学療法士の主な仕事です。基本動作が困難になるのは先天的な場合と、病気や事故などの後天的な障がいによる場合があります。その症状は人によって異なり、症状の違いによって注意項目が変化します。医師の処方をもとに、理学療法士は検査を行い、対象者の情報を正しく評価し、プログラムを作ります。

基礎医学の習得が不可欠

対象者の情報を正しく評価するには、解剖学や運動学、生理学といった基礎医学の知識は不可欠です。骨格、筋肉、神経などの体の構造を知らなければ、患者さんの症状を理解することも、回復を必要とする身体的機能を把握することもできません。基礎医学を習得してはじめて、身体運動学や臨床医学へと進むことができます。異なる症状に対応するには、基礎となる知識こそが重要になるのです。
もちろん技術も必要で、それは経験とともに少しずつ備わっていくという側面もあります。しかし、就労年数にかかわらず、あらゆる事象に対応することが理学療法士には求められます。そのためにも、日々の絶え間ない努力が不可欠です。

ゆっくりきちんと向き合うこと

また、体のどこが悪くて、どこが使えるのかを見極めるためには、患者さんとゆっくりじっくり向き合い、きちんとコミュニケーションをとることも非常に大事です。自分の思いや感覚をうまく表現できない患者さんもいますし、表面上だけを見て評価してしまうと、治るものも治らなくなってしまいます。表面には表れない、根底にある問題を見出すためにも、患者さんとしっかり向き合う必要があるのです。
現在、理学療法士は医療や福祉の現場だけでなく、基礎研究や予防医学、プロスポーツの分野にも、そのフィールドを広げています。理学療法士に対するニーズは今後ますます拡大していくでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授 小林 武 先生

東北文化学園大学 医療福祉学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授 小林 武 先生

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理学療法学、医療福祉学

メッセージ

高校生のとき、下宿先に脳性麻痺の息子さんがいました。そこで、理学療法士という仕事を知りましたが、当時の高校の担任の先生は「理学療法士」の仕事をまったく知りませんでした。今から30年ほど前の話です。
近年、スポーツの場で活躍したいと、理学療法士をめざす人が増えましたが、興味のある人はぜひ、現場を見てから決めてください。参考書などには書かれていない、現場の状況を体感してください。そして覚悟を持って、入ってきてください。あなたを待っています。

東北文化学園大学に関心を持ったあなたは

東北文化学園大学は、仙台・国見の丘にキャンパスを持ち、医療・福祉・社会・経済・工学・情報の幅広い学びができる総合大学です。「実学教育」を教育理念に掲げ、専門職業人を育成する大学です。2021年4月から新しい学部を設置し、学際的な教育環境がさらに充実しました。また、「キャリアサポートセンター」の就職支援と相成って、例年高い就職率を誇り、卒業生は各業界で高い評価をいただいています。