脳卒中後の長い人生を支える「リハビリテーション」とは
退院後から新しい生活がはじまる
脳卒中は、脳をとりまく血管が詰まったり、破れてしまったりすることで、脳が正常に働かなくなり、最悪の場合は死亡に至る病気です。この病気の治療は進んでおり、脳の働きの再生、脊髄の電気的興奮を高める治療などを行います。発症してから半年の間に、ある程度の効果を上げることができます。しかし、6~7割の人には何らかの手足の障がいが残ります。ほとんどの人は、家に戻って生活しますが、その後の長い人生を考えると、きちんとしたリハビリテーションを続けることが大切です。
日々の活動量の維持も課題に
リハビリを行う理学療法士は、病気、体のことを知り、治療メニューを考えるだけでは十分ではありません。患者さん一人ひとりに合わせて、ライフスタイルに寄り添ったリハビリのメニューを組み立てることができて初めて支援、サポートができると言えます。
高齢者でも、健康であれば1日7000~8000歩は歩きます。ところが、脳卒中にかかった人は1日3000歩くらいしか歩けません。健康を維持するためには10000歩が推奨されています。歩かないと、「筋肉が落ちる」「血行が悪くなる」「代謝も悪くなって体力が落ちる」「骨がもろくなる」といった悪循環が起こります。脳卒中の後遺障がいのほかに、体に不調が生じないように、少しでも活動量を維持・増進していくことが求められます。
意欲的にリハビリができる工夫を
歩く量を増やすため、外に出歩ける人であれば、散歩の習慣を活用することができます。ゆっくり歩きと速歩きを交互に行うことで、例えば「次の交差点まで、なるべく早足で歩く」、それを過ぎたら、「ゆっくり歩く」、これを5セット行うと一日1000歩は増やせます。
リハビリは、病院の中で行うイメージがありますが、このように自宅や周辺で、患者さんが持っている潜在能力を発揮するのもリハビリの有効な手段になります。患者さんの立場を思いやり、寄り添っていくリハビリテーションが、脳卒中後の患者さんの人生を支えるのです。
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先生情報 / 大学情報
吉備国際大学 保健医療福祉学部 理学療法学科 教授 原田 和宏 先生
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