理学療法の現場は病院だけではない
地域におけるリハビリの重要性
理学療法士が必要とされる場所は、病院ばかりではありません。例えば、けがをして入院した人は、退院してもリハビリが不要になるわけではなく、その後のフォローアップが必要です。また、けがをしたり病気になったりしないための予防や健康増進について啓発・普及していくことも、理学療法士の大切な仕事です。つまり、病院内にとどまらない、地域に密着したリハビリが求められる時代となっているのです。
リハビリの3つのステージ
病気やけがで体の動きが悪くなった人のリハビリには「急性期」と「回復期」、「生活期」の3つのステージがあります。手術など急性期の治療が一段落し、本格的にリハビリに励むのが回復期で、病院を退院し、生活の場に戻ってからが生活期です。近年は、急性期や回復期だけでなく、生活期を支えるリハビリの重要性も意識されるようになっています。例えば、転んで骨折した患者が退院した場合、「また転んだらどうしよう」と怖がって家に閉じこもってしまうことがあります。このような場合、理学療法士は、骨折や歩行障がいに対するリハビリに加えて、杖(つえ)の使い方や転倒予防対策を指導するなど幅広い知識と技術で生活期をサポートしていきます。
生活期のリハビリにおける課題
入院中であれば理学療法士は対象者の人に毎日関わることができますが、生活期ではそうはいきません。対象者に関わる頻度が少なくなる分、理学療法士には自宅でできるリハビリ方法をはじめ日々を元気に過ごし続けていくためのさまざまな助言・指導・支援をする力が求められます。これからは90歳を超えた人たちのリハビリもあたりまえになるでしょう。これまで経験したことのない超高齢社会においてどのようなリハビリテ-ションとケアを行うのか、理学療法士には実践と研究の両面で大きな期待が寄せられています。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 健康福祉学部 理学療法学科 教授 浅川 康吉 先生
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