これからのロボット
人間が作業中に一緒になって使うロボット
ロボットには、自分自身で動くロボットと、人間が操作して人間と一緒になって動くロボットの2種類があります。今後のロボット市場の中で成長を期待されている分野の一つに「医療福祉分野」があり、そこでは、後者の、人間と一緒になって動くロボットがより活躍していくことでしょう。
医療福祉分野用ロボットの具体的な例としては、病院などでリハビリ訓練を行う療法士さんの教育用ロボットや、療法士さんの動きを模倣して実際のリハビリ訓練をお手伝いするロボットなどの研究が進んでいます。
患者の様子を模倣するロボット
これまで、療法士さんを育成する学校では、現場実習する前に、学生同士がお互いに患者役と療法士役になってリハビリ訓練の練習を行っていますが、健康な学生が、障がいのある患者さんになりきることは非常に難しいことです。そこで、ロボットを使って、障がいのある患者さんをロボットが模倣することで、学生はロボットを相手に患者さんを体験できるようになるのです。「療法士教育用下肢患者ロボット」では、膝の関節障がいを模倣していて、筋肉の代わりをするワイヤーをモータで引っ張ることで膝関節の痙縮(けいしゅく)や固縮(こしゅく)といった障がい状態を再現しています。これにより、現場実習の前に、学生は障がいのある患者さんを体験することができ、安心して現場実習に臨むことができます。
療法士の治療を模倣・再現するロボット
同じ障がいのある患者さんでも、患者さんごとにその症状や度合いが異なっていて、療法士さんはその患者さんに合わせたリハビリ訓練を行っています。運動機能を回復させる「リハビリ訓練ロボット」では、療法士さんが患者さんに施すリハビリ訓練の動作をロボットに学習させ、ロボットは療法士さんと同じ動きを再生することで、繰り返し同じリハビリ訓練が行えます。ロボットは患者さんのリハビリ訓練の様子を記憶することもできます。
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先生情報 / 大学情報
名古屋工業大学 工学部 電気・機械工学科 電気・電子分野 教授 森田 良文 先生
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