国際結婚―愛だけがそのすべてなの?
多様な現代社会の仕組みを考察
グローバル化にともない、人と人とのつながりは多様化しています。手軽に世界を移動できるようになり、日本は、同じような文化や価値観を持つ人たちで構成される社会から、多様な人々が暮らす社会に変化しているのです。「社会学」では、現代社会における、この多様な人間関係の観察を通じて、ルールや規範など、私たちが無意識のうちに当たり前と感じている仕組みを意識的に考えます。
国際結婚はグローバル社会の縮図
人間関係の最小単位は家族です。現代社会では、家庭内でも各人の価値観をすり合わせながら暮らしています。この特徴が見えやすいのが、文化の異なる人間同士が生活をともにする国際結婚と言えます。社会の多様化が加速する中、国際結婚も増えています。国際結婚は、2人の文化や価値観をすり合わせるだけでなく、2国間の経済格差やジェンダー格差(男女の社会的・文化的な役割の違いから生まれる不平等)など、世界規模の課題とも折り合いをつける必要があるのです。
社会学的想像力で視野を広げる
国際結婚をする女性の多くは、夫の国に移り住みます。異国で夫との関係が悪くなれば、頼る相手がおらず孤立しがちになることもあります。そして子どもを連れて帰国すれば、夫は不本意に子どもと引き離されることになります。この問題は、外交や政治的な問題に発展する恐れもあるのです。そこで、子どもが片方の親にしか会えない状況を早期に解決しようと、「ハーグ条約」が、日本を含む世界92カ国(2014年8月現在)で締約されています。この条約をきっかけに、日本国内の結婚・離婚についても議論を深めようという動きがあります。
かつて社会学者ライト・ミルズは、個人の状況は社会のルールの影響なしに成立しない、だから個人と社会のつながりを『社会学的想像力』を持って意識しようと説きました。ここでは家族という小さな人間関係を社会全体の大きな視点でとらえることで、現代社会のつながりや問題がよりくっきりと見えるのです。
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