複雑化する国際情勢を、どう読み解けばいいのだろう?
複数の国が共有できる「ルール」作りが必要
世界各国は国境を越えた経済的・政治的な関わりを深めています。歴史も文化も異なる国同士が、トラブルなく付き合っていくには、共通のルール作りが必要不可欠です。特許権や著作権、商標権などの「知的財産」を守るルールも、その1つです。有名キャラクターのイラストや人気ブランドのロゴマークなどを、無断で使用するのが違法であることは知っているでしょう。知的財産の価値と権利の保護を、複数国が「ルール」として認めているからこそ、技術やアイデアが他国に盗まれる心配をせずに商取引が行えるのです。
あなたがスマホを購入した時のことを思い出してください。性能だけではなく、ブランドやデザイン、カラーなども重視したと思います。「感性」「センス」など、形のないものでも確かに製品の価値を高める要素の1つなのです。
景気対策として提唱された「知的財産権」
「知的財産」のルールは、1980年代にアメリカが最初に提唱しました。その当時、アメリカ内の多くの企業が、新興国メーカーとの低価格競争に敗れて業績を落としていました。そこで、製品作りのアイデアや設計手法などにまで価値と権利を認めさせ、製品に付加価値をつけようとしたのです。当初は反発していた国々も、多角的貿易交渉などを経て、知的財産権を認めざるを得なくなりました。
「国際政治経済論」とは?
国同士の結びつきは、今後ますます複雑化すると予想されています。そんな中で、国際社会のあり方や方向性を考えるためには、労働環境や貿易収支など、何らかの分野に焦点を当て、国ごとの問題点を観察する必要があります。
知的財産権に関する各国の動きも観察すべき分野の1つで、「何を知的財産と見るか」「どの製品の権利を何年間保護するか」など、細かな点については、国ごとに微妙な違いがあります。そうした事実を踏まえ、いろいろなアプローチで国際問題を読み解いていくのが、「国際政治経済論」という学問です。
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先生情報 / 大学情報
北九州市立大学 外国語学部 国際関係学科 准教授 阿部 容子 先生
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