建築を「デザイン」の視点から考える
建築家に求められる役割とは?
「建築」というと、用途に応じた素材選びや強度を考慮した構造設計など、工学的な要素から成り立っているものと考えられがちです。それはもちろん間違いではありませんが、建築家には、そうしたあらゆる要素を踏まえた上で、「デザイン」という視点から建築をとらえ、適切な答えを導き出していくという役割も求められます。
制約があるからこそ生まれるアイデア
まったく何の縛りもなく、好きな場所に好きなものを建てていいということになれば、それは単なるオブジェになってしまいます。しかし実際の建築では、例えば敷地の制限、かけられる予算、依頼主からの要望など、それぞれの建築で条件はすべて異なります。建築家はそうしたさまざまな制約の中で、自分自身の価値観も反映させながら、どういう提案をすべきかを考えなければなりません。逆に言えば、いくつもの制約による負荷がかかっているからこそ、建築家は多彩なアイデアを発想することができるのです。
そうしたアイデアの多くは、面積や断熱性などの単純な数字だけでは表現しきれないものです。そしてデザインの視点からたくさんのアイデアが反映された建築は、それ自体が建築家の「作品」です。そして建築家の仕事には、新たな依頼を受けるたびに、まったくゼロの状態から新鮮なチャレンジができるという「やりがい」も含まれています。
建築を学ぶことで広がる可能性
建築について学ぶことは、建築家になるためだけでなく、社会の中で活躍するために必要なトレーニングにもなります。デザインの視点からさまざまな条件を引き受けた上で提案する建築家としての能力は、企画やプロデュースの力を磨くことにもつながります。それは、建築以外のデザイン分野やマスメディア、あるいは建築に関するトラブルを扱う建築弁護士など、さまざまな分野で活躍する人材にも共通して求められるものです。建築は、私たちの想像以上に裾野の広い可能性を秘めているのです。
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先生情報 / 大学情報
武蔵野美術大学 造形学部 建築学科 教授 布施 茂 先生
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