「介護しやすい家」で、みんな笑顔で暮らそう
増えている在宅介護・在宅医療
高齢化が進む日本にとって、在宅介護は大切です。また、高齢者以外でも、医療技術の進歩によって、病気やケガなどで、在宅介護が必要となるケースが増えています。
例えば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)では、呼吸筋が侵され自発呼吸が難しくなりますが、自宅で人工呼吸器をつけて生活されています。また、息切れの症状のあるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などで在宅酸素療法を受けている患者さんも、日本では15~16万人います。この治療法では酸素濃縮器という機械を主に使い、ゼオライトという吸着剤に窒素を吸着させます。そして通常、空気に21%含まれている酸素を、95%以上の濃度にして吸入します。
今まで気づかなかった医療機器の置き場所
自宅に医療機器を設置する際、暮らしやすい場所に置くことが大切です。実は、意外なことにその点について、医療関係者や家づくりの専門家である建築家も深く考えてきませんでした。例えば、酸素濃縮器を使う患者さんは、チューブを介して酸素を吸いますが、酸素濃縮器のほとんどが寝室に設置されていました。1日の半分を寝室で過ごす場合はともかく、活動性の高い方なら居間などでよいはずです。
在宅介護を見据えて家を設計しよう
最近では、ようやく障がいのある人も使いやすいユニバーサルデザイン住宅、高齢者に対応したバリアフリー住宅なども増えてきました。介護の際に大変なのがお風呂です。ホームエレベーターがあれば1階がお風呂、2階が寝室でも入りやすくなります。ホームエレベーターは建築時に設置すると、後でつけるより大幅に低予算で済みます。また、バスルームも1坪(3.3平方メートル)の広さだと、介護者と車椅子の人が入ると狭いのですが、1.25坪になると楽に入れます。ほかの場所の広さを調整して、少し広めにすることは難しくないでしょう。高齢になってから、家を新築するのは大変です。家を建てるときには、将来に備えて在宅介護について考えておくことが必要です。
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