超高層ビルからの夜景は何が違う? 都市の空間を解析する

超高層ビルからの夜景は何が違う? 都市の空間を解析する

建築の集まりが街並みや都市を作る

建築とは、窓やドア、柱、階段、そのほかいろいろな部品が寄り集まって、一つの形になったものです。一つひとつの部品がデザインされていますし、それらの集合体である建築もまたデザインされたものです。建築が集まると街並みとなり、さらにたくさん集まると都市になります。「空間解析論」は、そうした建築の集まりからなる街や都市の特徴を探ろうとする研究です。

明るさによる景観の印象の違い

東京のお台場、新宿、池袋の3カ所の超高層ビルの展望室から昼、夕方、夜に撮影された景観の写真を用いて、「開放的な―閉鎖的な」「統一感のある―多様な」といった21対の形容詞で景観を評価したアンケート結果があります。21対の評価形容詞は、都会らしさを表す「都会性」、にぎやかで華やいだ雰囲気を表す「繁華性」、形態的な特徴を表す「象徴性」、多様で不規則な状況を表す「多様性」に分類できました。「都会性」「象徴性」「多様性」に分類された評価には、昼、夕方、夜と明るさが異なっても、大きな違いが見られませんでした。一方、「無彩色―多彩」「寂しい―にぎやか」「静的―動的」「殺風景―趣がある」といった「繁華性」の評価は、いずれも昼、夕方、夜の明るさによる違いが大きく、これらが超高層ビルから眺めた都会の夜景の印象を特徴づけているということがわかりました。

街の明かりが作り出す多様な景観

ちょっと注意して夜景を見てみると、例えばオフィスビルはどの部屋にも蛍光灯がついていて、一面真っ白に光って見えます。ホテルのビルは照明が温かな印象の電球色です。マンションのビルにはいろいろな色合いの照明があり、在宅の有無によって明かりがついていたり、ついていなかったりします。こうした特徴を持った建築の一つひとつが寄り集まって、都市の夜の多様な景観を作り上げています。
このようにして、さまざまな角度からの視点で建築や都市を分析していくことが、空間を解析することの面白さなのです。

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法政大学 デザイン工学部 建築学科 教授 安藤 直見 先生

法政大学 デザイン工学部 建築学科 教授 安藤 直見 先生

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建築学

メッセージ

映画やテレビドラマ、小説などの場面には、いろいろな種類の建築が出てきます。それらはどこかで、物語の重要な部分に関係している場合があります。物語の流れを追うのとは別に、ちょっと見方を変えてそうした建築をチェックしてみると面白いでしょう。普段街を歩いていても建築はたくさん目にしますし、そもそも私たちは日々、建築の中に住んで過ごしています。そこに建築のさまざまな面白さが潜んでいるのです。

先生への質問

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