規模に合わせ、住む人の生活の質をアップさせるまちづくりとは
人口などの規模に合わせて、街を変える
建物や道路、橋などは、街を構成するのに欠かせない要素です。一方、住民たちがこれらの要素をどのように使えば、住みよい街になるかを考えるのが都市計画であり、まちづくりです。そして各地で人口減少が進む日本では、その規模に合った街の見直しが必要になっています。つまり、すでに人が住んでいる「街を変えていく」というプロセスを踏むことになります。
「街の使い方」を考える
街から人が出ていくときは、たいていあちらで一家族、こちらで一家族とパラパラと抜けていきます。この動きは、自治体ではコントロールできませんが、残った住民たちの生活の質(QOL)を落とさず、むしろ上げていくための工夫はできます。例えばお隣が引っ越して、そこが空き地になったとします。そのままでは土地は荒れ、住民は住みづらくなります。では、その土地をみんなが自由に使えるようにすればどうでしょうか。隣の広い土地で、畑など始めても面白そうです。少し極端ですが、一区画が千平米もある空間につくり替え、まちを別荘地として生まれ変わらせることも可能です。ポイントは、すでにあるもの、地域資源をどう生かすかです。そのためには使いやすい形や、使う人との組み合わせを考えるコーディネートが重要です。このように、新しい街を「つくる」だけではなく、街の使い方「つかう」を考えることも、空間計画(都市計画)です。
大切なのはQOL
こうした人口の変化に応じた生活空間のつくり変えが、今後のまちづくりの課題です。そのためには、まず変えていく街と住民とをどうつなげ、どこへ導くかについての話し合いを重ねることが必要です。例えば山間部に住む高齢者を、下の街に移住させれば、自治体の運営コストは下げられます。しかし、はたしてそれでその高齢者は幸せでしょうか。住居や建物といったハード面と、住む人々の幸福感といったソフト面との折り合いをどうつけるか、その大切な部分へのアプローチがまちづくりにとって重要なのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
東北大学 工学部 建築・社会環境工学科 教授 姥浦 道生 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
建築学、都市工学、土木工学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?