ファッションデザイナーは服だけをデザインするのではない!?
ファッションは時代や社会を反映するもの
ファッションを学ぶとは縫製や製図などの技術を習得することのように思われがちですが、技術は時代とともに変わっていきます。もっと普遍的な、新しいものを作るための発想を身につけることが必要です。クリエイティビティ(創造力)とは、世の中を変える起爆剤になるべきものです。服だけに限らず取り巻く空間であるインテリア、家、地域、国まで概念を広げ、美意識や思想をひっくるめた形で網羅して考えてみましょう。自分の体に近い服というものを見つめ直し、さらに社会や時代を反映したライフスタイル全般を作り上げていくことがテーマとなるのです。
日本の文化をファッションに生かす
ブランド「FINAL HOME」では、全身がポケットになっていて、水や日用品を入れたり新聞紙を詰めて防寒したりできる機能性のあるコートを作っています。ポケットは表地と裏地の間にものを入れるつくりになっていますが、実は日本の着物と同じ発想からできています。こうした日本の文化をベースにした発想こそが今のファッションに必要なものと言えるでしょう。洋服はヨーロッパで生まれ発展してきたので、ヨーロッパと同じ発想では後追いのものしかできません。日本の気候や文化、日本人のよさや強さを生かしたものが武器になるのです。ユニクロがなぜ好調なのかというと、大量生産していく工業技術という日本人の得意なものを軸にしているからというのが一つの要因です。
伝えていくことの大切さ
日本のアパレルは技術力も高くセンスもよいのに、ブランド力を高めたり伝えていったりすることがうまくありません。ファッションは作るだけで終わるものではなく、流通に乗り、メディアに出て広まってこそ、評価されます。ファッションショーや雑誌のあり方も変わってきつつあり、ソーシャルメディアをはじめとするインターネットでのコミュニケーションが発展しています。この時代にどう発想し発信していくかを考えるところからデザインが始まるのです。
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先生情報 / 大学情報
武蔵野美術大学 造形学部 空間演出デザイン学科 教授 津村 耕佑 先生
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