今ある空間を再生して、まちの新たな価値に

今ある空間を再生して、まちの新たな価値に

「使い続ける」という意識

日本では2000年以降人口が減り、「空き家問題」がニュースなどでクローズアップされていますが、住宅以外にも過去の建物でうまく使えていない空間はたくさんあります。一方、海外では耐久性のある建物の価値を大胆にシフトさせ、長く使い続けるという意識が根づいている国があります。例えばフランスにある「オルセー美術館」の建物は、元は駅舎です。近年、日本の住まいでも新築ではなく「今ある建物の再生」が一般的になってきました。さまざまな空間において、従来の「現状復帰」といったリフォームではなく、価値を転換するリノベーションが求められており、今のニーズに合わせてどう再生するかを考える必要があります。

まち全体にどう影響していくのか

「今あるものをいかによみがえらせるか」という空間再生の研究では、まず海外などの事例から、建物としてだけではなくまち全体へ及ぼした影響まで考察し、それを基に実際の課題について考えていきます。例えば、長い間使われなくなった倉庫が、文化施設として生まれ変わり、地域の新しい拠点となるような事例があります。解決策の提案では、模型を作って説明することもあります。見えない概念を扱うことが多い社会学の中で、空間再生の研究は「可視化」でき、空間という実感を伴いながら今の社会をとらえていきます。

点と点をつないで広がるネットワーク

これからの空間再生は、まちの中の建物、住まいという「点」で考えるのではなく、「エリアリノベーション」というような「面」でとらえることが求められます。それは点と点がつながって、次第にネットワークが広がっていくようなイメージで、そこにはそれらをつないだり、発信したりする人の力も必要です。そのため、さまざまな領域の枠組みを超えて「空間が今の社会が抱える問題に対して何ができるのか」ということを幅広く考えることが大切なのです。

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亜細亜大学 社会学部 現代社会学科(2025年4月開設) 教授(学部長予定) 白井 宏昌 先生

亜細亜大学 社会学部 現代社会学科(2025年4月開設) 教授(学部長予定) 白井 宏昌 先生

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メッセージ

クリエイティブなことは、絵が描けるとか、デザインができるといった芸術大学で学ぶようなことだけではありません。例えば自分たちのまちがもっと楽しくなる、わくわくするような仕組みやつながりをつくることもクリエイティブなことなのです。まちに対して、「今何が課題なのだろう」といった問題意識と面白いという気持ちをもってそれらを実行することはとても楽しいと思います。大学ではさまざまな分野でクリエイティブなことができます。あたり前の風景の中にある課題やポテンシャルを見つけてみましょう。

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亜細亜大学では「多様な夢に挑み、アジアの未来に飛躍する創造的人材」の育成をめざし、5学部8学科の学士課程教育、国際教育、キャリア教育と軸とした教育体制を整えています。
さらに2023年4月にデータサイエンスと経営学をつなぐ画期的な学びを提供する「経営学部データサイエンス学科」を開設。初年次教育やゼミナールの必修化、留学制度、副専攻制度など、学生一人ひとりの興味・関心に合わせて、柔軟で広い視野を獲得するための多彩な学びを実現するカリキュラムを構成しています。