コンピュータで作る理想のぬいぐるみとは?
完成形に近い型紙をコンピュータで算出する
ぬいぐるみを手作りする場合、まず型紙を作って、布を切り抜き、それらを縫い合わせてから中に綿を入れて閉じます。ただ、このようにして作ると、型紙を作る際のイメージよりも一回り小さな仕上がりになってしまいますし、そもそも型紙をデザインするのは難しい作業です。
そこで、コンピュータを使って、ぬいぐるみの完成形をイメージして描いていくと、それにもっとも近い仕上がりにできる立体とそれを作るための型紙を計算する仕組みが開発されました。目的はかわいいぬいぐるみを作るためのプログラムですが、実は、コンピュータが緻密な計算を何度も繰り返しながら、最終的にフィットする形を見つけ出しているのです。
誰でも気軽に使えるようにするために
このぬいぐるみ設計支援ツールは、精度を高めようとすればするほど、非常に複雑な処理が必要になるため、普通のパソコンでは処理能力が足りません。そこで、趣味でぬいぐるみを作るには支障のない程度まで処理を簡略化してコンピュータの負担を減らし、なおかつできあがりのぬいぐるみの形を画面に少しずつ描画することで感覚的な待ち時間を短縮した、一般的なパソコンでも気軽に使えるぬいぐるみ設計支援ツールが考案されました。操作画面も非常にシンプルで、ペンタブレットで作りたいぬいぐるみの形を描けば、それに合わせてどんどん型紙が計算されて描き出されます。
ものづくりに役立つ身近なツール
コンピュータをはじめとするさまざまな機器の進化により、ものづくりはとても身近になりました。ぬいぐるみ制作など手芸を支援するツールの存在は、今後さらに注目されるようになるでしょう。そのためには、ツールの仕組みそのものを考えるだけでなく、それをどんな人にとっても使いやすくするためのインターフェイスの研究も大切です。
コンピュータが苦手な人でも自分だけの作品をデザインして作ってみたいと思えるような、誰でも創造性を発揮できるツールがこれからのものづくりには必要なのです。
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先生情報 / 大学情報
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 講師 五十嵐 悠紀 先生
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