さまざまな分野で「現象」の解明に用いられる関数方程式
関数方程式とは?
数学は、大きく3つの分野に分かれます。代数学と幾何学、解析学です。難しそうな名前ですが、あなたが中学で学んだ一次方程式や二次方程式は、代数方程式と呼ばれるもので、代数学の分野に入ります。それに対して関数方程式は、数ではなく関数がみたす「方程式」のことで、同じ方程式でも解析学の分野に入ります。微分を含む関数方程式を「微分方程式」、積分を含む関数方程式を「積分方程式」といいます。また数列を定める「漸化式」も関数方程式の1つです。
関数方程式でロケットを飛ばす!
関数方程式を用いると未来が予測できます。例えば高校では物理で運動方程式を学びますが、その原理は位置と速度の微小変化の関数を表す微分方程式です。惑星運動の美しい性質も、リンゴが木の枝から落下する現象も、ニュートンが発見したたった1つの微分方程式から導かれます。すなわち、現象を微分方程式でモデル化し、その微分方程式を解くことで、物体の運動が予測できるのです。これが関数方程式のすごいところです。またロケットの軌道も微分方程式を用いて計算されています。つまり、微分方程式がなければロケットを正確に飛ばせないのです。
解くのではなく、証明する
大学受験までに勉強するような、解が明確な形で求まる微分方程式というのは、数学では初歩的なレベルに過ぎません。実際は、自然界の複雑な現象を表す非線形微分方程式の解は求まらない場合がほとんどです。ではどうするのかというと、解を求めずに、別の方法で解の性質を調べて証明します。微分方程式の解を、コンピュータを使って数値シミュレーションで予測し、それをヒントにしながら解の性質を証明することもあります。数学の分野では、最後に証明まですることで初めて研究成果として認められます。関数方程式は自然科学だけでなく工学・経済学など、広く応用されています。これからも関数方程式によるさまざまな分野の新しい発見や発展の可能性は、大いにあるのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪公立大学 理学部 数学科 教授 松永 秀章 先生
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