商品・サービスの価値をつくる・伝えるマーケティングという実学
「壊れない」を前提とした価値の創造
日本の高度経済成長期に世界中で商品が売れた理由の1つは、「壊れない」という強みでした。しかし、現在はこの点で差を生み出すことが難しくなりました。よって、耐久性は前提条件として、他の価値を生み出す必要があります。マーケティングは、「消費者に売りつける」のではなく、「消費者がおのずと欲しいと思う価値をつくる」ことが本質です。
商品・サービスの存在意義であるコンセプト
苦戦する商品・サービスの主な理由は、曖昧なコンセプトです。コンセプトは価値の定義であり、商品・サービスの存在意義です。その基本は、問題解決です。消費者は、問題を解決してくれる商品・サービスにお金を払います。「病気を治せる」のような実用的な問題に加えて、「外出先で疲れたときに落ち着きたい」「深夜にお腹が減ったときに、太らずにお腹を満たしたい」のような心理的な問題が該当します。コンセプトが曖昧な場合、他の真似をしただけの価値の乏しい商品・サービスになります。
マーケターは「オーケストラの指揮者」
マーケターに求められる主な力は、(1)戦略立案、(2)クリエイティブ制作、(3)リーダーシップです。1つ目は、上記のとおり、優れたコンセプトを立案する力です。そのために、市場調査やデータ分析を駆使します。2つ目は、コンセプトの具現化に不可欠なデザインとユーザビリティです。これらは客観的な性能より価値があります。3つ目は、導いたコンセプトを「絵に描いた餅」で終わらせないために不可欠な力です。商品・サービスをつくるのは、1人でできる仕事ではありません。研究開発、生産、営業など、多くの関係者の協力を得て実現します。いわば、オーケストラの指揮者のように、多様なプロフェッショナルたちの能力を引き出し、調和させ、コンセプトという1つの目的を達成します。そうして生み出した商品・サービスが顧客に選ばれ、喜んで使われている様子を見たときの達成感は、一度味わうとやめられない「人生の趣味」になるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
明治大学 商学部 商学科 講師 加藤 拓巳 先生
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