グリーンエネルギー社会の実現に不可欠な「電池」の開発
「蓄電池」が環境にやさしいわけ
地球温暖化を防ぐために、二酸化炭素の排出量削減が世界中で叫ばれています。石炭・石油などの化石燃料の使用を少なくすればいいということはわかっていますが、どうやって自然エネルギー、いわゆる「グリーンエネルギー」に転換していくかが、模索されています。例えば、太陽光や風力による発電は、状況によって発電能力が変わるため、電力の安定供給が難しいという欠点があります。地熱や潮力を利用した発電は、安定供給は可能ですが、コストがかかりすぎるのが難点です。また、現在の送電システムは電力の安定供給が前提となっているので、送電の安定性を補うために、電気をためておくことのできる「蓄電池」が必要になるのです。
自動車に使われる蓄電池
二酸化炭素排出の相当量を占めているのが、自家用車の排気です。現在、ガソリンと電力を併用するハイブリッド車、水素を燃料にして走る燃料電池車など、グリーンエネルギー社会をめざした自動車が次々と開発されています。中でも、将来のエコロジーカーとして有望視されているのが、蓄電池を搭載した電気自動車(EV)であり、政府も大きなプロジェクトとして開発に力を入れています。2025年頃には、EV車が普通に街を走るようになっているかもしれません。
「小さな電池」が広げる「大きな未来」
自動車に搭載する電池は、できるだけ小型にするのが望ましいのですが、現在生産されている蓄電池は大きいので、ハイブリッド車の車体のデザインは制限されています。EV車は1回の充電で500キロ走れることをめざして開発されていますが、それも、より小型で、かつ高性能の蓄電池による実現が目標となっているのです。
さらに、蓄電池は自動車だけでなく、将来的には船や電車など、あらゆる乗り物に使用されるようになると考えられます。もちろん乗り物に限らず、携帯電話から人工衛星まで、身のまわりのさまざまなところで蓄電池の活躍する機会は増えていくことでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 環境応用化学科 教授 金村 聖志 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
電気化学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?