めざせ低環境負荷! 石油由来と天然由来のエコマテリアル

めざせ低環境負荷! 石油由来と天然由来のエコマテリアル

続々と作り出される高分子材料

現在、新しい材料を作り出す研究が盛んに行われています。新しい材料ができれば私たちの生活だけではなく、産業の構造も変わり、さらに便利で快適な社会になっていくと考えられます。
プラスチックを代表とする高分子材料は、石油化学工業の発展と共に次々と生み出されてきました。高分子材料は、軽量で加工性も良く安価なことから、1960年以降、家電製品などのプラスチック化を急速に進行させました。一方で、これらの材料が持つ「安っぽい」イメージが大量生産・大量消費をもたらし、環境にマイナスの影響を与えることがわかってきました。

石油由来の物質を燃やさない

現在、回収したPETボトルから、プラスチックのリサイクルが実施されています。しかし、このリサイクルは、高分子自体が劣化するため数回程度しかリサイクルができません。また、PETボトル以外のプラスチック類はリサイクルが困難なことが多く、燃やして熱エネルギーを回収する方法が採られています。
しかし、石油由来の高分子を玩具のレゴのような仕組みにすれば、それらを組み立ててプラスチックを作ることができます。この「分子レゴブロック高分子」は、容易に何度もリサイクルができることに加え、不用になった場合も、高分子を組み直して別のモノにすることができるので徹底的に利用することができます。

天然物の活用

自然界に存在する微生物などの働きによって、自然に還るプラスチックとして「生分解性プラスチック」が知られています。しかし、コストの問題や作り方が複雑であることから、実用化されている例は少ないです。
しかし、ゼラチン、セルロース、毛髪などをガラスと分子レベルで複合化(ハイブリッド化)することで、耐久性、耐熱性に優れた材料になります。また、これらの材料は透明性も高いので、自動車のフロントガラスへの実装が期待されます。
このように、今後は、石油由来の物質の利用と天然由来の物質の利用のベストミックスをめざすことが重要になるでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東京都市大学 理工学部 応用化学科 准教授 岩村 武 先生

東京都市大学理工学部 応用化学科 准教授岩村 武 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

有機化学、高分子化学、材料化学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学では仏教や哲学を学ぶことを希望していましたが、両親の希望で高3から理転し、化学科に進学しました。不本意な進学でしたが徐々に化学への愛着が芽生えてきました。私にとって大きな転機となったのは、博士課程の時の指導教員との出会いです。頭脳明晰で人間的にも尊敬できる先生なので、自分も先生のようになりたいと思い、嗜好品、ものの考え方など「真似る」ことから「学び」ました。夢が破れた後、どのように歩むかが大事だと思います。めざすものが変わってもいい。決められたレールの上を生きることが全てではないと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東京都市大学に関心を持ったあなたは

東京都市大学は2009年4月に武蔵工業大学からへ校名を変更。新たに文系2学部、理系2学部、文理複合系1学部を擁する総合大学として発足しました。前身の武蔵工業大学は80年の歴史を持ち多くの卒業生を輩出、日本の産業発展に貢献して来ました。97年には文系・理系複合の環境情報学部、09年には文系の都市生活学部と人間科学部を設立し、工学部から分かれた知識工学部を加えて学問の分野が大きく広がっています。80年の歴史を携え、キラリと光る特徴をもち存在感のある大学を目指す東京都市大学は、常に進化を続けています。