小さな電池が、私たちの未来を大きく変える!
注目される「蓄電池」
現在、電池の研究は、各業界から大きな期待が寄せられている分野です。特に注目されているのは、充電して繰り返し使用可能な「蓄電池」で、スマホや携帯電話に使用されているリチウムイオン電池のように、小型化・高性能化が進んでいます。電池を小型化すれば、携帯電話をより小さくでき、高性能化すれば、携帯電話の充電が長持ちするようになります。携帯電話業界の発展が、電池の研究を後押ししてきました。
ワイヤーハーネスレス時代の到来
もちろん、蓄電池が使われるのは、携帯電話だけではありません。例えば、人工衛星は、できるだけその重量を軽くしなければなりません。衛星には多数の装置がついていて、それぞれに多数の配線がつながって作動しています。将来、それらの各装置がそれぞれ小さな蓄電池によって作動し、無線の通信でつながるようになれば、配線分の重量を軽くすることができます。自動車や家庭内の電気製品でも同様で、配線のない、いわゆる「ワイヤーハーネスレス」にすることで、軽量化や省スペース化が実現できるわけです。
電池を小さくする技術
電池を小さくするには、さまざまな新技術が必要となります。例を挙げると、「セパレーター」という絶縁シートの開発です。電池の内部は電解液に満たされ、正極と負極がセパレーターで仕切られています。セパレーターには極小の穴が無数に空いており、そこにイオンが通ることで電気が流れます。穴がよりきれいに均一に空いているセパレーターを作ることで、長持ちする電池が作れるのです。例えば100回充電を繰り返すと使えなくなっていた電池を、3000回以上ももつようにできます。
このような新材料や新技術の開発によって、小型化・高性能化した蓄電池ができ、それを使うことで、腕時計型やメガネ型などのウェアラブル端末も実現可能となります。小さくて高性能な電池が、私たちの生活をより豊かにし、これまでできなかったことも可能にしてくれるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 環境応用化学科 教授 金村 聖志 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
電気化学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?