消費電気エネルギーは減らせる
日々、情報処理に頼っている日々の生活
「電話をかける」「ネット検索する」「ATMを使う」など、私たちは情報処理に頼った生活を送っています。もはや情報処理は、社会の基盤になっています。しかし、「電気エネルギーを消費している」と意識している人は少ないはずです。
情報処理に使われている電気エネルギーは年々増加しており、日本全体の電力消費量の2割に届こうとしています。省エネが叫ばれる中、この消費量を半分から3分の1に減らしたいところです。
情報の処理能力は日々上がっていますので、単位処理能力当たりの電力は下がっています。しかし、全体で消費する電力は増えています。これは「個々の機器は性能が向上し、機器それぞれが消費する電気エネルギー量は減っているけれど、私たちが情報処理を使う機会は増えている」ということを意味します。電力消費量を減らしたいのなら、パソコンの消費電力を少なくすることが最も効果的です。
省エネのスピントロニクス
「パソコンの電源は始業から終業までつけっぱなし」という会社は非常に多いと思われます。この電気エネルギー量はバカになりません。情報を処理するときだけ電気を使うようにしてしまえばいいのです。
今、情報は半導体集積回路(IC)で処理し、微細な「磁石(スピン)」などの記憶媒体に保存しています。そこで、今は別々のICとスピンを一緒にすることで情報処理のエネルギーを減らす「スピントロニクス」という技術の研究が進められています。
ICとスピンを組み合わせれば、保存作業を意識せずに情報処理を行うことができます。ワープロを例にすると、文書を打ち込むときだけパソコンが動き、そのときだけ電気エネルギーを使うことになるのです。スピントロニクスはさまざまな情報処理に活用できるため、今と同じ生活を続けても、使う電気エネルギーは減少します。その結果、効率のいい社会の基盤を作ることができるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
東北大学 電気通信研究所 教授 大野 英男 先生
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